脱炭素化への取り組みが本格化し、各国政府は「グリーンリカバリー」を目指す。しかし、太陽光発電設備の建造に必要な資材の価格が高騰、コスト高がブームに水を差しかねない。「魅力は変わらない」との指摘がある一方で、強制労働による製造が疑われる太陽光パネルへの依存が懸念される。

<span class="fontBold">太陽光発電設備の設置が拡大している。中国では、太陽光パネルが棚田のように並ぶ光景がみられる(左)。右はシンガポールの海上に設置されたパネル群</span>(写真=左:AP/アフロ、右:AFP/アフロ)
太陽光発電設備の設置が拡大している。中国では、太陽光パネルが棚田のように並ぶ光景がみられる(左)。右はシンガポールの海上に設置されたパネル群(写真=左:AP/アフロ、右:AFP/アフロ)

 太陽光発電のコストはこの数十年間下がり続けてきた。それが、ここにきて上昇に転じている。資材の価格が急騰したからだ。この産業でビジネスを展開する企業の株価は2020年に記録的な伸びを見せたものの、今や投資家の関心は薄れつつある。

 MACグローバル・ソーラー・エネルギー指数を見ると、関連企業の株価は20年に3倍超に跳ね上がった後、21年に入って18%下落した。その背景には鋼材やポリシリコンの価格と輸送費の上昇がある。

 サプライチェーンがもたらす制約により太陽光発電設備の設置コストは下げ止まっている。時まさに、各国政府が「グリーンリカバリー(緑の復興)」に注力する姿勢を打ち出している真っ最中のことだ。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的拡大)が経済に非常に大きな負の影響を与えた。各国政府は、脱炭素化をはじめとする環境政策がもたらすポジティブな効果で、経済の落ち込みを巻き返そうとしている。

新設備の導入費用は2割増へ

 太陽光発電のコストは10~20年に8割低下した。英エネルギー調査会社S&Pグローバル・プラッツによると、こうした急激な下降は一段落したという。

 同社でアナリストを務めるブルーノ・ブルネッティ氏は「太陽光発電産業が紡いできた物語は姿を変えた」と語る。「太陽光発電のコストはこの10年の間に激減したが、現在は安定している。一部にはコストが上昇しているケースさえある」という。

 S&Pグローバル・プラッツによると、米国では溶融亜鉛メッキ鋼コイル(ソーラーパネルのフレームと骨組みに使用する)の価格は20年初頭に比べて2倍以上に上昇し、記録的な水準に達した。

太陽光発電に使用する鋼材価格が急騰
●溶融亜鉛メッキ鋼コイル(1ショートトン当たりの価格)
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出所:S&Pグローバル・プラッツ/Financial Times
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