新型コロナ禍がもたらす負の影響は人の健康や命、経済にとどまらない。子供たちは学習の機会を奪われている。エチオピアでは昨年、学習量が通常時より60~70%減少したという。遅れを取り戻すには、政府の支援が欠かせない。しかし、取り組む政府はわずかで、決して十分とは言えない。

<span class="fontBold">新型コロナ禍で子供たちは学習の機会を奪われた</span>(写真=AP/アフロ)
新型コロナ禍で子供たちは学習の機会を奪われた(写真=AP/アフロ)

 新型コロナウイルスに感染しても、重症化する子供はほとんどいない。米国では、今年4月までの1年間で、新型コロナウイルスに感染して死亡した5~14歳の子供は50万人に1人程度にとどまる。これは子供が普通に暮らしていて交通事故で死亡する確率のおよそ10分の1にすぎない。にもかかわらず、世界全体を見渡すと、新型コロナ危機のため学校が全面的もしくは部分的に閉鎖された期間は、1学年の約3分の2に上る。

 学校の閉鎖は、子供の未来にとてつもなく大きな害を及ぼす。それが、成人の致死率が高いこの感染症の拡大を防ぐ最善の方法の一つであるなら、正当化することができるかもしれない。だが学校閉鎖のコストとリスクを入念に評価している政府はほとんどない。多くの国で、バーやレストランが店を開けているのに、学校は閉鎖されたままである。

 教員組合をなだめたり、両親の不安を鎮めるために、学校を閉鎖しているのだ。教員組合に加入している教員は、対面授業をしてもしなくても、給料を得ることができる。

 この結果、子供たちの若い頭脳は刺激に飢えることになった。英国の小学校では通常時よりも約3カ月分、授業が遅れている。エチオピアの子供たちが2020年に学んだものは通常時より60~70%少なかった。

 そもそも、新型コロナウイルスの感染が広がる前から教育状況は劣悪だった。低・中所得国では、10歳の子供の半分以上が簡単な文を読むことができなかった。世界銀行は、こうした子供たちが今では全体のほぼ3分の2に達する可能性があると警鐘を鳴らす。

 学校の閉鎖はすべての国において格差を広げるだろう。

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