米ロ首脳会談で、米バイデン大統領はロシアのプーチン大統領に対し、関係改善を働きかける態度を取らなかった。ロシアの「暴走」を制止する程度の歩みよりしか示さなかったその姿勢は、歴代米大統領のやり方と大きく異なる。現実路線の追求に徹するこうしたバイデン氏の手法は地味に映るだけに、大きな成果が得られない可能性もある。

<span class="fontBold">スイスのジュネーブで行われた米ロ首脳会談の様子</span>(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)
スイスのジュネーブで行われた米ロ首脳会談の様子(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 首脳会談というものは、テニスの試合とは全く似ても似つかないものだ。気持ち良く「ゲーム・セット・マッチ(試合終了)」できることなどほとんどない。

 米ロ首脳会談についても、同様のことがいえよう。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を行った米大統領は、これまでに4人いる。皆が勝利を手中に収めるべく、あれこれ趣向を凝らしたが、どれも失敗に終わった。そのせいだろうか。このたび6月16日の米ロ首脳会談に臨んだジョー・バイデン大統領は、前任者たちとは大きく異なり、大きな成果を高望みせず、試合に臨んだように見える。

 バイデン氏は、プーチン氏に合意を取り付けようとか、心を通わせようといったそぶりを全く見せなかった。彼が目指したのは、米国と軍事的に敵対関係にあるロシアとの関係を安定したものにするという、極めて控えめな目標だった。つまり4人の前任者が避けてきた、現実路線の追求に徹したのだ。

 世界のメディアにとって、こうした彼の目標はあまりにも地味に映った。バイデン氏は、2000年にプーチン氏が大統領に選出された直後、ロシアの自由と繁栄を回復したとプーチン氏の手腕をたたえたビル・クリントン元大統領のまねをしなかった。01年の米ロ首脳会談でプーチン氏の心をつかんだと主張し、自分の見たものを信じると述べたジョージ・W・ブッシュ氏に倣うこともしなかった。09年にバラク・オバマ氏が決然と示したように、米ロ関係を「再構築」するという野心的な目標を示すこともなかった。

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