中国は国内の技術革新を推進するため、中央・地方政府の資金で技術系ファンドを多数設立してきた。投資の回収期限が迫るものの投資先の業績が伸びず、多くのファンドは出口戦略を実施できそうにない。こうしたファンドは政府から投資先の制約を受け、政策的な投資判断を優先せざるを得ないからだ。

 中国政府の支援のもと、総額9000億ドル(約100兆円)近い基金を運用する技術系ファンド各社が、利益目標の達成に苦労しているという。

 投資先の企業が上場を果たせず、投資家を集めることもできないため、資金を回収できない、とファンドの経営幹部らは話す。

 中国中部、河南省にある中原科創風険投資基金(ZSI)は政府の支援を受ける投資ファンドの一つだ。このファンドの経営幹部は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に、匿名を条件に「プライベートエクイティ(PE)ファンドがこれまで取ってきた出口戦略は我々の役には立たない」と語った。

 「我々の投資判断は市場原理よりも政策要件に影響される」

 ZSIは2015年の創業以来、中国でもかなり貧しい地域とされる河南省で、10社以上のスタートアップ企業に投資してきた。これらの企業の3分の2について、株式を売却できずにいる。

 投資先企業は、農業用機械メーカーからソーシャルメディア・サイトまで多岐にわたる。その多くは事業目標を達成できていない。その結果、6年にわたる運用期間が満了となる今年12月までに、ZSIが投資を引き揚げられる可能性は低い。

 ZSIのような政府誘導ファンド(GGF)は中国に2000社近くある。これら多くのファンドも、投じた資金を期限内に現金化できない可能性がある。

続きを読む 2/3 補助金代替の政府PEファンド

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