京東物流は米アマゾン・ドット・コムと同様、完全統合型配送網を運営している。同社を支持する向きは、このアプローチによって、競合する順豊エクスプレス(SF Express)のモデルや、アリババが支援するモデルをしのぐ総輸送距離を稼ぐと確信している。順豊エクスプレスは米フェデックスと同様の旧来型サービスを提供する既存事業者だ。アリババは、より分散型のシステムを志向している。

 京東物流は、eコマースをなりわいとする企業を親会社に持つ、中国唯一の大手配送サービス企業である。17年に京東集団から分社化した。他のオンライン小売り企業からの配送注文に応じられるようにするのが目的の一つだった。現在も、京東集団が取り扱う莫大な量の荷物の配送を請け負っているが、収入の相当部分はグループ外企業からの委託による。

 京東物流は、業務の質の維持と、より迅速な配送の両立を掲げる。これを支えるのは、自前の技術やトラック、倉庫、そして直接雇用するスタッフだ。同社が運営する中国最大の統合物流システムは、荷物の配送に関わる全プロセスを網羅する。完全に自律化した上海のフルフィルメントセンターや無人配送車がこれを支える。

<span class="fontBold">京東物流が運用する無人配送車(左)</span>(写真=AP/アフロ)
京東物流が運用する無人配送車(左)(写真=AP/アフロ)

 この統合物流システムは逆方向にも機能する。例えば、顧客からのフィードバックを商品設計者に届ける。京東物流は、こうした機能により商品の改善とブランド力の強化が図れるという。

配送料金は下がり続ける

 アリババの物流を担当する菜鳥網絡(ツァイニャオ、アリババが同社株式の過半を保有している)は京東物流とは対照的に、その配送網において多くの設備を所有していない。その代わり、約3000に上る物流企業が擁するおよそ300万人の配送員を動員できる。

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日経ビジネス2021年6月7日号 86~87ページより目次

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