米国の4月の消費者物価指数が、前年同月比4.2%増と大幅に上昇した。これを嫌気して、株価は2%下落した。この傾向は続くのだろうか。需要は回復しつつあり、クレジットカードの利用はコロナ禍の前のレベルに近づく。しかし、企業の反応は速い。すぐに、十分な供給態勢を築くだろう。それでも、新たなサプライズがあり得る。

驚きの物価上昇率
●米消費者物価指数の推移
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注:CPI=消費者物価指数 *=食品とエネルギーを除く
出所:US Bureau of Labour Statistics/The Economist
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 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)で打撃を受けた米国経済は、数兆ドル(数百兆円)規模の財政刺激策をテコに回復を遂げつつある。今、投資家が抱くのは「インフレは始まるのか」「始まるとしたらいつなのか」という疑問だ。

 米連邦準備理事会(FRB)は米経済を回復させるべく、物価上昇率がインフレ目標を超えても一定期間は容認すると明言している。ジェローム・パウエルFRB議長は、利上げについて「検討することすら考えていない」と語る。

 それでも、さまざまな資産の価格がかつてない低金利に支えられている現状を鑑み、投資家たちは神経をとがらせる。インフレ率が高まれば、FRBが方針を改め、利上げに踏み切らざるを得なくなるのではとやきもきしているのだ。

 そして、インフレをめぐって驚くべきことが起こった。5月12日に発表された4月の米消費者物価指数が前年同月比で4.2%の上昇を記録したのだ。これは2008年以来の高い水準で、予想の3.6%を上回った。この日、米国の主要な株価指数であるS&P500種株価指数は2%下落した。

 この物価上昇を招いた最大の要因は、現在の価格圧力ではなく過去にある。昨年、原油価格が下落した。これが、前年同月比の計算に用いる基準値を押し下げた。

 とはいうものの、コア消費者物価指数(変動の激しい食品とエネルギーを除いたもの)の伸び率は前月比でも0.9%となった。これは、1980年代以降で最も大きな値だ。

 4月の統計を見ただけで、インフレ率の急騰が迫っているか否かを知ることはできない。だが、今回発表された数値は、経済再開の現実について何事かを物語っている。

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