コモディティー(商品)価格が軒並み上昇している。鉄鉱石、パラジウム、木材がいずれも最高値を付けた。ワクチン接種が拡大し新型コロナ禍の出口が見え始めた。経済回復に向け、各国政府は財政支出を拡大する。電気自動車へのシフトも需要を増大させる。しかし、この傾向がいつまで続くかについては意見が分かれる。

<span class="fontBold">工業分野で重きをなす銅の価格は、2011年以降で初めて1万ドルを超えた</span>(写真=アフロ)
工業分野で重きをなす銅の価格は、2011年以降で初めて1万ドルを超えた(写真=アフロ)

 ここ数週間、様々なコモディティーの価格が力強く上昇しており、一部のトレーダーやアナリストの間で「スーパーサイクル」が到来したとの期待が高まっている。主要国の経済が相次いで回復し始めていることが背景にある。

 中国の需要が力強いのに加え、新型コロナ禍で落ち込んだ経済を回復させるべく各国政府が積極的な財政政策を打ち出していることが、いくつもの重要な原材料の価格を押し上げている。世界経済が「脱炭素化」に向かう動きも、原材料価格の上昇を促す要因の一つだ。

 4月の最終週には鉄鉱石、パラジウム、木材がそろって過去最高値を付けた。鉄鉱石は鉄鋼を作るのに不可欠な主要原料。パラジウムは、自動車メーカーが有害ガスの排出を抑制するために使用する。穀物、油糧種子、砂糖、酪農製品を含む主要農産物の価格も軒並み急騰。トウモロコシ価格は8年ぶりに1ブッシェル7ドル(約760円)を突破した。

 「このようなことがこれまで起きたことがあるだろうか」。スウェーデンのパルプ・林産品大手、スベンスカ・セルローサ(SCA)のウルフ・ラーションCEO(最高経営責任者)はこう話す。同社は4月30日に第1四半期の決算を発表し、純利益が前年同期比66%増加したと明らかにした。「ある種の完璧な嵐が訪れている」(同氏)

経済回復は中国から欧米に

 時を同じくして、世界で最も重要な工業用金属である銅の価格も、2011年以降初めて1万ドル(約109万円)を突破した。大豆も8年ぶりの高値を付けた。24種類の原材料の値動きを追跡するS&P GSCIスポットインデックスは年初から24%上昇した。

 主要国の経済が回復し、需要拡大への期待が高まった。欧州や中国の経済は急回復している。中国は世界最大の原材料消費国だ。さらに米国経済が顕著な回復の兆しを見せ始めた。米国では住宅市場が活況を呈している。

 アナリストらは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に伴うサプライチェーンの混乱と、一部の原材料の在庫減少が火に油を注いだと指摘する。

 一部のトレーダーやアナリスト、企業幹部が新たなスーパーサイクルの始動を予言し、これが投資家を引き付けている。スーパーサイクルとは、需要が供給を上回り、価格が長期にわたって高止まりする状態をいう。

 欧州系の資源商社トラフィギュラのチーフエコノミスト、サード・ラヒム氏は「米政府が推進する大規模な財政政策が、世界最大の経済大国である同国の商品需要を拡大させるとの期待に拍車をかけた」とみる。「ジョー・バイデン米大統領はすでに成立したものに加えて、新たに2つの景気刺激策を提案している。そのどちらかでも実現すれば、需要拡大はさらに加速する。このプロセスは始まったばかりだ」

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