中国がミサイル網を強化し続けており、米国がアジアに置く主要基地はその射程に入る。戦略転換を迫られる米軍は議会に6年間で270億ドル強の予算を要求した。グアムの強化とさらなる拠点分散を進めたいとの意向だ。課題は、友好国の協力を得られるかだ。

<span class="fontBold">日本や韓国にある基地は中国ミサイルの射程に入る</span>(写真=Hiroyuki Ozawa/アフロ)
日本や韓国にある基地は中国ミサイルの射程に入る(写真=Hiroyuki Ozawa/アフロ)

 米軍の司令官たちはこの数年間、アジアにおける米中の軍事バランスが米国に不利な方向に傾くのを見てきた。国家防衛戦略委員会は2018年、仮に中国と戦争になれば「米国は軍事的に大敗を喫する恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 さらに今年3月4日には米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官が、中国は5年以内に「米国が太刀打ちできないほど強くなる可能性がある」と指摘した。

 こうした見通しを受けて米議会は奮い立った。昨年12月、インド太平洋軍を強化するため22億ドル(約2400億円)を投じる基金「太平洋抑止イニシアチブ(PDI)」の設置を承認した。

 そして今日、アジアで任務に当たる米司令官たちはPDIの21~22年予算を47億ドル(約5100億円)に倍増するよう議会に要請した。これはフィリピンの軍事予算を超える金額だ。彼らはさらに27年までの5年間について227億ドル(約2兆4800億円)をPDIに充てるよう求めた。

 この大規模予算の使途について、3月1日に発表した報告書で説明している。

 米国は多数の部隊と軍用機、軍艦を擁する。これらをどこに配置するかが重要だ。アジアで紛争が起きた場合、数少ない大型基地、とりわけ日本と韓国に置く基地が拠点となるだろう。だが、そのいずれも中国が保有する膨大な数の通常型ミサイルの射程に入る。米国の司令官たちはPDIを活用して防衛力を高め、軍事力を分散し、中国を抑止するための新たな手段を講じたいと考えている。

続きを読む 2/2 重要なグアムの役割

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