EUでは、新型コロナの感染再拡大が止まらないにもかかわらず、ワクチン接種が米英に比べて進まない。欧州委員会がワクチン発注で失敗したのに加え、各国政府も自国のためにならない対応をとってきた。ワクチンの共同調達は改めて欧州統合の象徴となるはずだったが、むしろEUの結束を危うくしている。

アストラゼネカ製ワクチンの効果を疑問視する動きが広がる(写真=AFP/アフロ)

 世界の国々は、新型コロナウイルスの感染状況とワクチン接種の進み具合により3種類に分類できる。

 一つは新規感染者が多く、ワクチン接種を積極的に進めている国々。例えば米国や英国だ。第2のグループはオーストラリア、日本、中国などで、ワクチン接種はまだ進んでいないが、懸念すべき症例もそれほど多くない。

 最後のグループは、新規感染者が多いにもかかわらずワクチン接種が進まない国々だ。この不幸なグループにおける唯一の先進地域が大陸欧州である(大方のラテンアメリカ諸国も同様の状況にある。多くの貧しい国ではデータがそろわない)。欧州大陸は、このパンデミック(世界的大流行)の最初の段階では比較的良好に対処できたと自認していた。現在の状況は予想外の成り行きだ。

 世界各国の統計を集約するサイト「アワー・ワールド・イン・データ」で、2021年に入ってからの新型コロナ感染者数と死者数を見ると、世界全体の約4分の1を欧州連合(EU)加盟国が占めている。EUの人口は世界全体の6%にすぎない。

 6カ月前から始まった感染の再拡大は途切れることなく続いている。波が訪れているというよりも、膨張を続けているというのに近い。イタリアは3月8日、累計死者数が10万人を超えた。世界で6カ国目だ(死者数が10万人を超えた国の中でイタリアが最も人口が少ない)。

続きを読む 2/3 ワクチン停滞と変異型拡大

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