世界を代表する米資産運用会社、バンガードの運用資産が節目となる7兆ドルを突破した。7.8兆ドルを集める米ブラックロックとともに、世界の資産運用業界で支配的な地位を築いている。今後はより一層、個人事業に注力し、長期目線で顧客の運用資産を増大させるサービスを拡充しようとしている。

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ペンシルベニア州にあるバンガード本社の看板(写真=ユニフォトプレス)

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 業界きっての価格破壊者として知られるバンガードは、2020年、資金流入額が1860億ドル(約19兆3100億円)に達し、運用資産額は初めて節目となる7兆ドル(約730兆円)を突破した。

 米ペンシルベニア州に本拠を置く同社は、低コストのインデックスファンドを武器に、米ブラックロックに次ぐ世界第2位の資産運用会社にのし上がった。1975年にジョン・ボーグル氏が創業して以来、同社は3000万人の顧客から資金を集めてきた。

 投資家は昨年、過去最高となる2100億ドル(約21兆8000億円)もの資金をバンガードのETFに投じている。これは2020年、世界のETFに流れ込んだ資金の約4分の1に相当する額だ。

 だがその後、中国とオーストラリアの機関投資家数社との契約が解消されたこともあり、資産は一部減少した。

 ティム・バックリーCEO(最高経営責任者)は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)のインタビューで「20年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が世界中の金融市場に厳しい調整をもたらしたが、顧客はバンガードとともに『順調な航海を続けた』」と語った。

ライバルはブラックロック

 また、「投資家は昨年、極めて困難な市場環境の中にあっても、当社に変わらぬ信頼を寄せてくれた。20年の1年間で、バンガードの顧客の資産は9300億ドル(約96兆5400億円)増加した」とバックリー氏は話す。

 バンガードは、同社に最も近い位置にあるライバルのブラックロックとともに、世界の資産運用業界で支配的な地位を築いている。この10年間で、投資家たちがその資金の多くをETFに移動させた結果だ。

 「株式指数などに連動する、インデックスファンドの運用資産拡大を受けて、資産運用業界ではバンガードとブラックロックのトップ2社が他社を大きく引き離す形となった。これら巨大資産運用会社2社の先頭争いは激しさを増している」。英調査会社、クリエイト・リサーチのCEO、アミン・ラジャン氏はこう話す。

 運用するファンドによって所有されるという、ユニークな企業構造を持つバンガードは、19年にその地位をブラックロックに奪われるまでの7年間、資金流入額ベースで最も高い成長を遂げた。過去12カ月間にバンガードの運用資産は6.2兆ドル(約644兆円)から7.1兆ドル(約737兆円)に拡大した。

 7.8兆ドル(約810兆円)の運用資産を抱えるブラックロックは、20年1~9月期の資金流入額が2640億ドル(約27兆4100億円)に達した。米株式市場が史上最高値を付けたことを追い風に、ブラックロックでは昨年第4四半期もさらなる資金流入があったとアナリストは見ている。

続きを読む 2/2 有力顧客を切り離した理由

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