トランプ大統領誕生の背景には、共和党と長年にわたり共存してきた拝金主義的な政治システムが関係している。富裕層優遇で生まれた格差がポピュリストや差別主義者を生み、トランプ氏は彼らの不満をテコに勢力を増した。再びこうした「脅威」を顕在化させないためにも、選挙制度や政治とカネの問題などを変えていく必要がある。

ジョセフ・スティグリッツ氏
ジョセフ・スティグリッツ 1943年米国生まれ。米アマースト大学卒、67年米マサチューセッツ工科大学で経済博士号取得。95~97年クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、97~2000年世界銀行のチーフエコノミスト。01年にノーベル経済学賞受賞。現在は米コロンビア大学教授。

 トランプ大統領の支持者らが、彼の言葉に扇動される形で連邦議会議事堂を襲撃した。トランプ氏がこの4年間、多くの共和党議員の支援と協力のもと、民主主義システムを「攻撃」してきた経緯を考えれば、こうした結末は予測可能だったはずだ。彼自身も平和的な政権移行を確約していなかったのだから。

 トランプ氏による企業や富裕層への減税、環境規制の後退、企業寄りの最高裁判事の指名などから恩恵を受けた多くの人々は「悪魔」と取引したことで生まれるこうした代償を理解していたはずだ。トランプ氏が解き放った過激派勢力を、制御できるとでも思っていたのだろうか。きっとそんなことは気にもかけていなかったに違いない。

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