EUから完全に離脱した英国は今、世界の中でどのような役割を果たしていくべきか。「グローバルな英国」を掲げる英政権は、EUの制約に縛られることなく国際的に影響力を振るうことができる。だが、注力する分野は重要性に鑑み精選する必要がある。何より、離れたばかりの欧州を見直すべきだ。

<span class="fontBold">ジョンソン英首相は合意なき離脱を回避したが</span>(写真=AFP/アフロ)
ジョンソン英首相は合意なき離脱を回避したが(写真=AFP/アフロ)

 英国は2020年12月31日(現地時間)、移行期間を終え、欧州連合(EU)から完全に離脱した。両者は同24日、通商協定に合意し、「合意なき離脱」の大混乱を回避した。

 しかし、数カ月前から示唆されていた通り、協定の対象は最小限にとどまる。同協定はサービス部門についてはほとんど触れておらず、これから果てしない議論が続くこととなる。しかも、英国側の主張により、外交と防衛の分野の案件にも手が着けられていない。

 他人となった欧州大陸を背に、孤立した英国が海のかなたに目を向ける時、一つの厳しい問いに直面する。「これから英国は世界の中でどのような役割を果たすべきか」という問いである。

 これは、英国が過去何世紀もの間、たびたび取り組んできた問いだ。英国の考えはこの数十年、失われた帝国や超大国の立場を懐かしむ思いに曇らされることが多かった。だが、EUの一員という立場がある種の答えを与えてくれていた。トニー・ブレア元首相の言葉を借りるなら、英国は米国と欧州の「懸け橋」になることができた。米政府にもEUにも影響力を持っていたからだ。

 だが今、英国は一から考え直さなければならなくなった。

 英国民が取り得る一つの道は、国際的な立場の低下を受け入れ、国内問題に集中することだ。

 つまり、少し大きなデンマークになるということである。この穏健な北欧の国は、決して大国気取りをしない。英調査会社イプソス・モリが9月に行った世論調査によると、英国民の38%が「英国は世界の主要な大国であるかのような振る舞いをやめるべきだ」と考えている。この意見に同意しない人は28%にすぎなかった。

続きを読む 2/3 EUに縛られない利点を生かす

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