新型コロナウイルスは、それ以前から世界に存在していた5つの問題を、より深掘りする結果をもたらした。テクノロジーが働き方を変え、格差拡大は進み、ポピュリズムがはびこり、政府債務は膨張し、国際間協調が薄れる。2025年以降もこうした状況は変わらず、世界は貧しくなっていくと筆者は予想しており、解決すべき課題は山積みだ。

<span class="fontBold">新型コロナの世界的流行は、コロナ前から存在していた格差の拡大を助長させている</span>(写真=ロイター/アフロ)
新型コロナの世界的流行は、コロナ前から存在していた格差の拡大を助長させている(写真=ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大は世界を未来へと加速させた。コロナ危機以前から存在する問題が、パンデミック(世界的な大流行)で影響を強めているためだ。ここでは2025年以降も強い影響を及ぼすこうした要因を5つ挙げる。

 第1はテクノロジーだ。コンピューターとコミュニケーション技術の進化が人々の生活や経済を大きく変え続けている。ブロードバンド通信や、「Zoom」などのビデオ会議システムのおかげで、今や大勢の人が在宅で働けるようになった。25年までには、多かれ少なかれオフィス勤務に再び戻ることが予想されるも、オフィス勤務に完全に戻るということはない。多くの人がオフィス以外で働くことを許されるようになるだろう。

 しかし、当然ながらこうした動きは自国民だけとは限らない。多くは低賃金で仕事を請け負う外国の労働者にも当てはまるはずだ。そうなれば、いわゆる「バーチャル移住」が増えて労働環境が不安定化する可能性が高い。

 第2は不平等だ。高賃金の会社員は在宅勤務が可能だが、そうではない人の方がむしろ多い。欧米ではコロナ禍の深刻な影響を被る人の多くがマイノリティーに属している。だが、成功して権力を持っている人たちは潤沢な報酬を得ることができている。

格差拡大がポピュリズムを助長

 パンデミックで深刻となる不平等が25年までに緩和されることはないだろう。猛威を振るったウイルスによって、格差はしっかり根を張ってしまった。ささやかな改善しか進まなければ、ポピュリズムは25年も幅を利かせ続けているだろう。

 第3は債務だ。ほとんどの国で過去40年の間に債務が拡大した。危機が起きて民間部門の借り入れ能力が落ち込むと、政府が空白を埋めた。08年の金融危機後もコロナ禍でも、こうした行為は繰り返されている。

 今回のパンデミックで政府、民間部門ともに債務が激増した。世界の主要金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)によると、世界の債務残高の国内総生産(GDP)比は19年末時点で321%だったが、20年6月には362%に達した。これほど急激な増加が平時に起きた例はない。

 幸いにも、政府の資金調達コストは現在のところ低い状態にある。先進諸国の国債金利は名目、実質ともに驚くほど低水準だ。だが民間部門の過剰債務は長い間、景気の足かせとなる。

続きを読む 2/2 世界はコロナ前より貧しく

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