食品業界の成長が減速し再編を迫られていた3年前、ネスレはCEOに外部からシュナイダー氏を招いた。高級品への移行を進め、環境保護を掲げるなど、ブランドイメージの改善努力を続ける。新型コロナのワクチン開発に見通しが付き始めたが、医療企業で経験を持つ同氏は慎重な姿勢を崩さない。

<span class="fontBold">ネスレは高級品や健康志向製品に力を入れる</span>(写真=ロイター/アフロ)
ネスレは高級品や健康志向製品に力を入れる(写真=ロイター/アフロ)

 スイスは時計作りで知られる。そして、この国にはもう一つ、創業以来ほぼ一貫して時計のように規則正しく事業を続けてきた企業がある。食品世界最大手のネスレだ。

 1860年代に創業したこの会社は、今日に至るまでずっとジュネーブ湖畔のヴヴェイという小さな町に本社を置いている。同社は長い間、閉鎖的な企業文化を持ち、時折スキャンダルに見舞われる不透明な巨大企業と見られてきた。

 それでも同社製品は、毎日莫大な量が消費されている。2019年の売上高は930億ドル(約9兆7000億円)を超える。同社がコーヒーについて何かを語る時、それは1000億杯のコーヒーを意味する。米国やアジアでは、データが新たな石油なのかもしれない。だが欧州では、温かい飲み物が原油やコンピューティングよりも熱いのだ。

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