中国の賃貸住宅仲介会社が経営の危機に直面している。新型コロナの感染拡大を受け、地方から都市に出稼ぎに来ていた労働者が姿を消したからだ。賃料は入らない。それでも家主との借り上げ契約などは続く。仲介会社のキャッシュフローは逼迫する。

新型コロナ危機のため職を離れた出稼ぎ労働者は戻ってくるか(写真=AFP/アフロ)

 11月9日の週、賃貸住宅仲介大手、蛋壳公寓(ダンケ)の北京本社を人々が取り囲み、まれに見る猛烈な抗議活動を繰り広げた。この出来事は、中国で最も急な成長を遂げてきた業界の一つである、賃貸住宅の仲介業界を大きく揺るがすものだ。この業界は、債務比率が中国で最も高い業界にも名を連ねる。

 北京の中心部にあるダンケのオフィスの外に集まった大勢の物件所有者や入居者、下請け業者、清掃業者は、同社が契約を守らず、期日までに支払いを行わなかったとして責め立てた。こうした動きはこの業界全体に広がりつつある。仲介業者は北京の賃貸住宅のほぼ半分を手掛けている。

 ダンケのオフィスの外で怒りの声を上げる人々が持つプラカードには、「必死に稼いだカネを返せ」などと書かれていた。

 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだった中国の賃貸住宅仲介業界は、新型コロナウイルス感染症の大流行に直撃された。各社は、物件を所有する個人家主と数年にわたる賃貸借契約を取り交わし、その物件を入居者にサブリースしている。

需要拡大受け積極展開

 中国経済は不況から立ち直りつつあるものの、新型コロナの感染が拡大した当初、雇用が失われ、出稼ぎ労働者が大都市から姿を消し、個人消費が低迷した。これが、債務比率の高い賃貸住宅仲介会社十数社に深刻な損失をもたらしている。

 これらの仲介会社の一部は最近、米国株式市場に上場したばかりだった。ダンケは1月、ナスダック市場で新規株式公開を果たした。大手不動産仲介会社、我愛我家(5i5jホールディング・グループ)がダンケを買収するとの噂を好感し、ダンケの株価は11月17~18日の2日間で3倍超上昇した。それでも、現在の株価は依然として年初の水準を66%下回っている。

 同様に、競合であるQ&Kインターナショナル・グループ(Qingke)の株価も3分の1に下落した。

 不動産コンサルティング会社、景暉智庫で首席エコノミストを務める胡景暉氏は「中国の賃貸住宅仲介業界は、構造的な問題に直面している。そのビジネスモデルの有効性が問われる問題だ」と話す。

 混乱に見舞われる前、賃貸住宅仲介業界はスケールメリットを得るべく非常な勢いで物件の取得を拡大させ、数年にわたり目覚ましい成長を続けた。コンサルティング会社の米フロスト&サリバンは、中国ではこの業界が関与する物件が、2013~19年に10倍以上に拡大したと推定する。

 急成長を支えたのは賃貸需要の増大だった。政府統計によれば、昨年、賃借人は2億人を超えた。この6年前の水準から50%以上増加した。

続きを読む 2/2 家主と入居者にも危機が連鎖

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