中国の地方では、過疎化の進んだ集落を潰して農地化し、土地の利用効率向上を図る施策が進む。大都市への出稼ぎが30年にわたって続いてきたことが過疎化を促した。暴力を伴うこともある強引な進め方に批判が集まる。地方政府は姿勢を軟化させたが、計画そのものは止まらない。

 中国東部、山東省浜州市の郊外に延びる普段はのどかな田舎道を、驚くほどの台数の土木用重機が行き来している。近くを流れる黄河から水を引く農業用水路を建設するための重機もあるが、その多くは建物の解体作業に使われるものだ。

 幹線道路からこの田舎道に出る分岐点には「ジャイボー村」という表示がある。だが、この村はもはや存在しない。重機は既に集落を壊し、地ならしを終え、残骸を運び去った。

 この村には5月の末まで約70世帯が住み、トウモロコシや綿花、果樹を育てていた。その住民たちの大半は今、約7km離れた魏集の町の郊外に新たに建てられたアパートに住んでいる。土木作業員に尋ねたところ「土壌改良をしている。彼らの多くはここに戻ってきて、同じ土地で働けるだろう」と語った。

 近年、中国全土の田舎で同様の光景がよく見られるようになった。村が破壊され、元の住民がほかの土地に移住させられる。地方政府が建設した住宅群やアパートに入居するケースが多い。これらの住宅は、散在していた集落の住民を集めて住まわせるために建設されたものだ。

 地方政府は、「合村併居」と呼ぶこの施策について、いくつかの理由を挙げて説明する。一つは都市化の推進だ(新しいコミュニティーのいくつかは、魏集のような町の周縁部に造られている)。村民の貧困救済が挙げられることもある。しかし最も多く語られる狙いは、地方にある土地の利用効率向上だ。

 過去30年の間に数千万人の地方住民が都市部に移住した。多くの村に残されたのは年寄りと、都市に移住した者の子どもたちばかりだった。

 そこで地方政府の役人たちは、空き家の増えた土地を農地に転用して、省内の農地の総面積を減らすことなく、都市近郊の農地を使って都市開発をしようと考えた。中国中央政府は、14億の人口を支える食料生産に必要な耕作可能地が足りなくなることを恐れ、各省に一定の農地面積を確保するよう求めている。

山東省弓山村の光景(写真=新華社/アフロ)

 上の写真は山東省の弓山村に作られた新村。近隣の集落の住民がここに移り住み、以前よりはるかに狭い土地に密集して暮らしている。

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