中国の習近平国家主席が2030年までにCO

9月22日の国連総会で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はビデオ演説を通じて驚きの発表を行った。中国は、2030年までに二酸化炭素(CO
これは技術面のみならず、植林などを含めた自然保全面の観点からもCO
15年に合意された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、署名国は今年末までに排出量削減に向けた最新計画の提出が求められている。しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、取り組みは進んでいない。9月2日、国連気候変動枠組み条約事務局長のパトリシア・エスピノサ氏は期限内の計画提出は80カ国程度とみられると語った。習氏の国連総会演説以前、多くのアナリストは米国が11月の大統領選後に今後4年の気候変動政策を明確に示すまで、中国は手の内を見せないだろうと予測していた。
中国はパンデミック(世界的大流行)への初期対応に対する国際的な批判に悩まされ、イメージの回復を狙って発表に踏み切ったのかもしれない。
CO2 排出量は既にピークアウト
しかしこの目標は現実的だろうか。排出量のピークアウトを30年以前に達成すると約束することは難しくないだろう。習氏が14年に最初にこの目標を宣言した(当時は「30年ごろ」との表現を使用)1年前に、すでに専門家らは、(中国の排出量が)早ければ25年にもピークに達するかもしれないと考えていた。 実際、一部の科学者は人間の活動からのCO
しかし60年までにカーボンニュートラルを目指すというのは別の話だ。習氏はすでに、9月14日の欧州連合(EU)首脳とのテレビ会議で、中国はこの目標に向けて努力するかもしれないと打ち出し、相手の出方を探っていた。その際、同氏は期限については明らかにはしなかったが、カーボンニュートラルを目指すと言及したことは、欧州外交筋によると「大きな政治的前進」であるという。昨年、欧州委員会は50年までに、温暖化ガスの排出量を域内全体で見て実質ゼロまで減らし、気候変動に及ぼす悪影響を取り除く「気候中立」を達成するという目標を設定した。一方、米国はこの問題については沈黙を守っている。
習氏は演説で慎重に言葉を選んでいた。「気候中立」ではなく、「炭素中立」を60年までに達成するという。この言葉の違いは、目標がCO
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