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米政権はアジア重視を掲げ、中東におけるプレゼンスを低下させてきた。その空白を突いて、中国が影響力を拡大している。米国がアジアを重視するなら中東を軽視してはならない。アジアの友好国は中東産の石油に依存している。

中国は中東における影響力を全方位で拡大させている(イラスト=Ingram Pinn)

 米国が2003年に開始したイラク戦争。これを批判する人々は、米国が行動を起こした真の動機は世界第2位*1の確認埋蔵量を誇る石油資源を掌握することだった、と常に信じてきた。

*1=原文のまま訳した

 「イラクの自由」作戦の立案担当者でさえ、イラクの石油から上がる収入が同国の迅速な再建を可能にし、そのことが、米国に有利な形で中東を再編するのに貢献すると信じ込まされていた。

 だがイラク戦争で得た褒賞が石油と中東地域における影響力拡大であるなら、この戦争とその後の展開において究極の勝利を手にしたのは中国だろう。中国は一発の弾丸すら発射することなく、これらを手中に収めた。

 今日、中国は世界最大の原油輸入国であり、イラクにとって最大の貿易相手国だ。中国向けの石油輸出においてイラクはロシアに次ぐ第2位。20年前半の輸出は前年同期比で約30%増加した。これは、イラクの総輸出の3分の1超に相当する。

 イラクのアデル・アブドルマハディー首相(当時)は昨年、北京を訪れた際、両国の関係は「大躍進」の時を迎えていると発言した。さらに同政権の電力相は「我が国にとって中国は、長期を見据えた戦略パートナーの第1候補に挙がる」と語った。

 これに対して、米国向けの石油輸出は今年前半にほぼ半減した。米国防総省は今後数カ月の間に、イラクに残留する米部隊の3分の1程度を撤収する計画だ。

去り行く米国、来る中国

 米国にとって最も長きにわたる戦争が終結に近づくのに伴い、アフガニスタンでも同様の状況が起きている。アフガニスタンとパキスタン両国の政府関係者が本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に語ったところによると、中国は平和プロセスを有効に支配している。さらに、米国が永久に去ったならば、潤沢なエネルギーとインフラ投資を与えるとタリバンに約束している。

 米国の同盟国だけでなく米国の政治家自身も、中東に対する米政府のコミットメントを疑問視する。そのような環境において、中国がその影響力を中東全体で急拡大させている。中国は外国勢として最大の資金をこの地域に投入。バーレーンを除くすべての湾岸諸国と戦略的パートナーシップを締結した。

 投資の大半は、米国の伝統的な同盟国に向けられている。これらの国々の多くは、中国の軍事技術を熱心に求める顧客でもある。