UAEが、イスラエルとの国交を正常化するという歴史的な決断を下した。だが、これを仲介した米国が真に狙うのは、アラブの大国サウジアラビアとイスラエルの国交正常化だ。ただしサウジは簡単には動けない。対イランで協力できる側面はあるものの、アラブの盟主の立場は崩せない。

サウジのムハンマド皇太子(左)とクシュナー氏(右)(写真=ロイター/アフロ)

 アラブ首長国連邦(UAE)が8月13日、イスラエルとの国交を正常化するという歴史的な決断を下した。米国はただちに、より重要度の高い、そして思い通りにならない標的へと目を転じた。サウジアラビアだ。

 UAEとイスラエルが今回の合意をまとめるに当たって、ドナルド・トランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏が仲介に動いた。同氏は次なる目標を、アラブ世界における米国の最大の同盟国サウジにも歴史的な一歩を踏み出させることに定めている。

 しかし、同氏とサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との密接な関係をもってしても、サウジを動かすことはUAEを動かすのよりはるかに難しい。

 「サウジこそが本当の狙いだ」。米中央情報局(CIA)の元職員でサウジの専門家であるブルース・リーデル氏はこう指摘する。「パレスチナの大義*1の真の信奉者」であるサルマン国王がいる限り、サウジがすぐに動くことはないだろう。

続きを読む 2/3 中東政策仕切るトランプ娘婿

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