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米国はかつて半導体産業を打ち立てた。だが今や国内で製造する先進チップはその12%にすぎない。米政府は安全保障上の理由からも製造の国内回帰を望むが、インテルでさえ製造技術で後れを取っている。米議会は支援法案を準備し、受託製造大手の誘致などを進める。だが業界の将来への懸念は消えない。

米政府はインテルに頼るしかないのか(写真=AP/アフロ)

 米国の半導体企業が前回、神妙な面持ちでワシントン詣でをしたのは1980年代半ばのことだった。彼らはそのとき、日本企業の大攻勢を受け、足をふらつかせていた。

 米国はその後、官民が協力して最先端の製造技術の開発に取り組んだ。米国が打ち立てた半導体産業は、こうして再び元の軌道に戻ることができた。

 今は当時と異なり、世界の半導体産業の多くの部分を米国企業が支配している。米国の半導体メーカーはチップの設計と製造に使う複雑な技術の多くで後れを取っているとはいえ、世界の半導体販売の約半分を握る。

 米国は世界の電子機器産業の首根っこを押さえていると言える。それゆえ、華為技術(ファーウェイ)をはじめとする中国企業に対し、我々は重大な損害を与えることができると圧力をかけることができるのだ。米国はこれらの企業を敵対的と見なしている。

 だからといって、米国政府は問題を気に掛けないわけにはいかない。貿易摩擦の緊張が高まる中、業界の弱い部分が表面化してきたことに懸念を強めている。業界支援のため相当な額の税金を投じてほしいという新たな要請も無視できない。

 先進的なチップの多くは米国で設計されるが、国内で製造されるのはその12%にすぎない。このギャップゆえに、米国の政治家はかつての日本との競争のとき以上に関心を抱かざるを得ない。米調査会社VLSIリサーチの会長でベテラン半導体アナリストであるダン・ハッチソン氏はこう指摘する。「最終的に、米国は自己主張を通すことにした」

台湾は米国51番目の州

 この不安は当然のことだ。中国はまだ半導体分野で米国に何年も後れを取っている。しかし今、国際競争力を持つ半導体産業を急ピッチで育てようとしており、2030年までには強力な競合となると予測される。

 中国との間で高まる緊張は、米国の潜在的な弱みを際立たせるものでもある。米国がチップ製造を中国以外のアジア諸国に依存することに起因する弱みだ。その中心的な存在が、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)だ。受託製造に特化したファウンドリーで、エヌビディア、クアルコム、AMDなど米半導体企業向けにチップを製造する。

 ハッチソン氏は「この『シリコンの盾』のおかげで台湾は(米国の)51番目の州となっている」と言う。チップ製造技術の分野で台湾が主導権を握っていることが、中国からの攻撃に対する最大の防御になっているという意味だ。「米国は台湾を守らねばならない。