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新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に危機を招いている。だが、これだけではすまない。債務、高齢化、デフレ、貨幣、格差、脱グローバル化、ポピュリズム、米中対立、新冷戦、環境破壊。新型コロナ危機の前から拡大していたこれらのリスク要因が今、新たな「大恐慌」の危険性を一層高めている。

ノリエリ・ルービニ氏
ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授兼、経済分析を手掛けるRGEモニターの会長。米住宅バブル崩壊や金融危機到来を数年前から予測したことで知られる。

 2007~09年の金融危機の後、世界経済に不均衡とリスクが広まった。政策の誤りがそれに拍車をかけた。各国政府は金融崩壊とその後の不況から明らかになった構造的問題に取り組むことなく、問題を先送りしたのだ。そのため景気に大きな下振れリスクが生じ、新たな危機が不可避となっていた。

 今、その危機が訪れている。リスクは前回以上に深刻化しつつある。目下の「グレーター・リセッション(金融危機後を上回る大不況)」は、今年は緩やかなU字形の回復に向かうかもしれない。それでも残念なことに、今後10年以内にはL字形の「グレーター・ディプレッション(世界大恐慌を上回る大恐慌)」が訪れるだろう。その要因は以下に示す10の不吉で危険な動向だ。

 第1の要因は、各国の赤字と、そこから派生するリスクである債務とデフォルト(債務不履行)だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらす危機に対処すべく、各国政府は財政赤字を大きく膨らませた。GDP(国内総生産)に対して約10%以上の増大だ。多くの国では公的債務が以前から、維持できないほどではないにせよかなり高まっていた。

拡大する赤字と破産

 さらに悪いことに、多くの家計や企業でも所得が減少する。民間の債務も維持が不可能な水準にまで増え、デフォルトと破産が多発する恐れがある。公的債務水準の上昇と相まって、景気の回復は10年前の大不況後以上に停滞するに違いない。