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新型コロナ危機による経済の停滞が、生活困窮者に食料を配布する米国のフードバンクに“活況”をもたらしている。年間食料予算の9割を既に使い果たしたフードバンクも現れた。食料へのニーズは低所得層のみならず中間層にも広がる。今回初めて食料を求める人々が7割に上る地域もある。

米ニューヨークのあるフードパントリー(写真=Michael Loccisano/Getty Images)

 米ニューヨーク州ロングアイランドで活動するフードバンク、アイランド・ハーベストは2万平方フィートの面積を持つ倉庫の寄贈を受けるとともに、数台の新しいフォークリフトを取得した。わずか8週の間に、通常を100万食上回る食事を提供した。

 米フロリダ州のフードバンク、フィーディング・タンパベイはモバイルパントリー(一時的に外部に設置した食料供給所)を拡大した。食料の配給を受けようと長蛇の列を作る車に対応するためだ。列にはおんぼろの中古車だけでなく、メルセデスベンツやBMWまでもが並んだ。

 米ニューメキシコ州アルバカーキでは、州が運営するフードバンクが4月までに年間食料予算の9割を使い果たした。通常の食料供給源が干上がったため、食肉用の牛を買い入れたのが原因だ。

 新型コロナウイルスが猛威を振るい失業率が急上昇するのに伴い、米国のフードバンクは食料の供給をかつてない強さで求められている。フードバンクは、寄贈された食料を生活困窮者に提供する支援活動だ。労働者階級や中間層の多くの人々が今、生まれて初めて支援を求めている。

日経ビジネス2020年6月1日号 86~87ページより目次