トランプ大統領は、米国が新型コロナ封じ込めに成功していないにもかかわらず、経済活動を再開しようとしている。感染者数の正確な把握すらしておらず、コロナ発生から数カ月の間に起こったことから何も学ぼうとしていない。民間でいくら優秀な研究者や立派な設備を抱えようが、強力なリーダーシップを抜きにして国難は乗り越えられない。

トランプ大統領は、4月16日、経済活動再開に向けた指針を発表した(写真=AP/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大は、外因性ショックがもたらす悪影響を示す事例としては、小惑星の衝突に匹敵するレベルのものだ。想像もしない脅威が訪れたのだ。この病原菌という「ストレステスト」によって、各国の危機対応能力が試されている。

 よく持ちこたえている国もある。だが米国は優秀な研究者、立派な設備を持つ研究所と、世界に比類なきリソースがあるにもかかわらず、うまく対応できていない。より問題なのが、米政府の政策に改善の兆しがほとんど見えないことだ。新型コロナウイルスによる最初の死者が確認されてから6週間がたったが、感染率は上昇する一方だ。感染拡大で得た知見がウイルス封じ込めにどれだけ貢献しているかを示す学習曲線も、相変わらず横ばいの状態が続いている。本来なら逆であるべきなのだが。

 そして最大の懸念が、米国には感染収束に向けたロードマップが存在しないことだ。実際の米国人感染者数を連邦政府は十分に把握できていない。そのためはっきりとした死亡率を割り出せず、免疫力を持つ人が全国にどの程度いるかもつかめない。もっと検査数を増やさないと、米国は闇をさまようことになる。これまで検査を受けたのは320万人で、人口のわずか1%にすぎない。

続きを読む 2/3 検査キットは供給されないまま

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