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新型コロナウイルスの影響で多くの企業が業績の急激な落ち込みに向けた対策を迫られている。今後は企業淘汰が起こり、資本に余裕を持つ一握りの企業がより一層強い力を持つようになるだろう。しかし、政府の救済策と補助金で生き永らえる企業も増え、資本主義の競争原理が薄まることも考えられる。

感染拡大を防止するために、複数の工場を一時的に操業停止にしている企業は多い(写真はワシントン州にある米ボーイングの工場)(写真=AP/アフロ)

 先進国の政府とエコノミストたちは新型コロナウイルスによるロックダウン(都市閉鎖)で、経済がどれくらい影響を受けるのか計算しようと躍起になっている。経済規模の縮小は10分の1で済むのか、それとも3分の1にまで及ぶのか。収束までの期間は3カ月か、6カ月か、はたまたそれ以上か。誰も正確なことは分からない。

 同じように企業の役員室でも、先行きが見えない環境に不安を抱えながら、損失の数字をはじき出そうとする議論が続いている。会社のキャッシュフローがどれほど悪化するのか、会社はそれを乗り越えられるだけの資金を確保できるのか、見極めようとしている。

 もっとも、この混乱の中ではっきりと分かったことが少なくとも1つある。それは、一握りの強い企業が、さらに強い影響力を持つようになる傾向が増していくことだ。

 すでに金融市場の安定に一役買っている企業もある。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の債務不履行(デフォルト)に備える債務保証コストは、カナダの国債よりも低い。米アップルの2070億ドル(約22兆円)に及ぶ巨額の手元資金は、ほとんどの国が財政刺激策で費やす規模を上回る。食品・日用品世界大手の英蘭ユニリーバは、サプライヤーへの支払いを急ぐことで、資金供給を強化している。

日経ビジネス2020年4月6日号 82~83ページより目次