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新型コロナウイルスの感染拡大が続く一方、各国政府が取り得る経済政策は限定的だ。金利を下げる余地は限られ、財政出動を繰り出す余力も乏しい。各国が取る政策が統一性を欠けば通貨戦争の懸念が高まる。今こそ、政策協調を進める時だ。

FRBのパウエル議長は、利下げに際し、各国との連携を重視した(写真=UPI/アフロ)

 2008年の金融危機から10年余りがたった。世界は新たな景気後退に備えるための時間が十分にあったはずだ。だが我々はその準備を怠った。

 世界の経済大国が貿易をめぐって争い分裂する状況下で、新型コロナウイルスの急速な感染拡大が、深刻な衝撃を世界に与えている。各国が政策の足並みをそろえなければ、景気低迷が長期化し、新たな通貨戦争の引き金が引かれる危険性が現実味を帯びる。

 COVID-19と名付けられた新型ウイルスについて分かっていることは少ない。これまでに明らかになった事実から判断する限り、感染が一たび勢いを増せば、全面的な封鎖以外に被害を封じ込める効果的な手段はないとみられる。中国やイタリアが講じたような措置だ*1

 こうした措置を取った結果、世界経済の大幅な冷え込みが不可避となる。3月の2週目に入り、感染拡大を受けて、米国をはじめとする世界中の株価と債券利回りが急落した。

 理想を言えば、インフレ率と金利がともに5%を超える健全な水準にある状態で、すべての中央銀行がこの試練に立ち向かうことができればよかった。そうであればCOVID-19が内需に打撃を与えても、必要に応じて金利を引き下げることができる。政府は的を絞った財政支援をすればよい。通貨は多少乱高下するだろう。その影響を受ける地域やその大きさは、どの国が感染拡大の影響を最も強く受けるかによる。だが、世界経済全体に緊張が波及することを懸念する理由はほとんどない。