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米民主党の大統領候補指名争いは、中道層を取り込もうとする候補が苦しんでいる。バイデン氏、ブティジェッジ氏、クロブシャー氏はいずれも中道票を固める力を持たない。見えてくるのは急進派のサンダース氏といまだ本格参戦していないブルームバーグ氏の一騎打ちの構図だ。

討論会に臨んだ立候補者。左からブルームバーグ氏、ウォーレン氏、サンダース氏、バイデン氏(写真=ロイター/アフロ)

 ジョー・バイデン氏の妻、ジル氏は本領を発揮していた。ジル氏は半生を教育者として働いてきた。2期にわたるオバマ政権で、副大統領の妻「セカンドレディー」の立場にあった間でさえ教職を続けていたほどだ。同氏が中心となって催した集会は、「バイデンのための教育者たち」と銘打たれていた。

 サウスカロライナ(SC)州ノース・チャールストンの穏健なバプテスト派の教会で開かれたこの会に集まった人々は、身なりがよく、大半がアフリカ系米国人で、比較的高齢者が多かった。バイデン氏の支持者は全体に年齢層が高い。この集まりは「知り合いになる」ためというよりも、「旧交を温める」会に感じられた。

 バイデン氏と長く「付き合いがある」と語る牧師のバーナード・ブラウン氏は、バイデン氏を「性格のよい人」と呼ぶ。この地域選出の州議会議員デイヴィッド・マック氏は、数週間前に母親が亡くなった時、バイデン夫妻が花を贈ってくれたと話した。

 集会で最も大きな拍手が湧き起こったのは、ある女性が「ジョーは経験豊富な政治家だから投票する」と語った時だった。「彼はずっとこの世界にいたのだから」

 だが、経験豊富であることは、バイデン氏の選挙対策チームが期待したほどの利点ではなかった。

 同チームはずっと、SC州を鉄壁の地盤と考えてきた。2月29日に行われる同州の予備選では、黒人が多数を占める民主党有権者の力で完勝を収め、アイオワ州とニューハンプシャー州での敗北を帳消しにできるだろう、と。SC州に住むやや保守的なアフリカ系米国人の民主党員はバイデン氏を信頼し、同氏がバラク・オバマ大統領(当時)に捧げた忠誠を評価していると、選対チームは考えていた。