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解消されない地域間格差、民間部門の低い生産性と、英国経済は難しい問題を数多く抱えている。とりわけ成長から取り残された地方都市に対しては、公共投資を増やしたとて持続的な成長につなげるのは難しい。歳出拡大を補うためには、増税か政府借入を増やすしか方法がないが、選挙時の公約もあり、容易に踏み切れない。

ジャビド前財務大臣とは財政拡大方針をめぐって対立し、袂を分かつこととなった(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 ボリス・ジョンソン英首相は、大言壮語を吐くのが得意だ。昨年の「ブレグジットを終わらせよう(get Brexit done)」や「英国の可能性を解き放とう (unleash Britain’s potential)」、そして2016年国民投票の際に掲げた見事なまでのスローガン「主権を取り戻そう(take back control)」といったものは記憶に新しいだろう。

 しかし同国の経済と社会が直面する課題は大きく、その実現には大きな制約が課されている。一体、英国は今後どうなっていくのだろうか。

 昨年12月の総選挙で保守党は、労働党を長年にわたり忠実に支持する選挙区において、票を取り込むことに成功した。しかし新たに取り込んだ支持地区の有権者に、支持政党を変えたメリットを感じさせられるかどうかは、また別の話だ。

地域間格差が固定化する構図

 今後、政府の予算配分は新たな方針に基づき、貧困地域の住民の福祉の改善、地域間の生産性格差の縮小といったものに一層焦点が当てられる。しかし英国政府はここ数十年にわたり、地域間の経済格差の均衡化に取り組んできており、とりわけ労働党政権は力を入れていた。

 しかし、こうした政策はことごとくうまくいっていない。理由は簡単で、そこには深く大きな溝が横たわっているからだ。

 英オックスフォード大学のポール・コリアー教授は著書『The Future of Capitalism』(「ザ・フューチャー・オブ・キャピタリズム(資本主義の将来)」)で、英国などの高所得国では、繁栄する大都市と困窮する地方都市の間には、経済的分断を引き起こす強い力が働いていると分析している。