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新型コロナウイルスの感染者数が拡大するにつれて、多くの中小企業や個人事業者が事業停止に追い込まれた。停止の長期化で資金繰りに窮する個人事業者が急増、貸し倒れ増で銀行のバランスシートは悪化している。政府は「影の銀行」対策のために進めてきた銀行改革を一旦休止し、帳簿外債務を容認せざるを得なくなっている。

湖北省に隣接する市町は、交通を遮断している(写真は江西省九江市の長江にかかる橋での様子)(写真=ロイター/アフロ)

 中国における新型コロナウイルスによる肺炎の発症者増に歯止めがかからない。このような状況下で、店を閉じたり工場が操業停止に追い込まれたりするなど、事業活動の停止を余儀なくされている企業が増えている。

 事態が長引けば資金繰りに窮すると心配する事業家も出始めた。靴の製造工場を営むワン・ジーさんもそのうちの一人だ。ワンさんは今年6月に返済期限が到来する、500万元(約7900万円)の借り入れの返済ができず、デフォルト(債務不履行)に追い込まれることを心配している。

 新型コロナウイルス感染による肺炎等の健康被害は終息の気配を見せず、中国ではすでに1100人以上の死者が出ている。上記のような中小企業や個人事業主のデフォルトが相次げば、中国の銀行は極めて困難な状況に追い込まれるだろう。

 感染拡大がもたらす危機的状況が長引き、店舗や工場が再開できなければ、貸し手は5.6兆元(約88兆円)の不良債権を新たに抱え込むことになる。企業の返済が滞れば、不良債権は3倍に膨らむだろう──。米格付け大手S&Pグローバル・レーティングスはこのような試算を発表した。

 S&Pの調査によれば、中国の銀行全体で、総資産に占める不良債権の比率は昨年末の2%弱の水準から6.3%に跳ね上がる恐れがあるという。これは約20年ぶりの高水準だ。

日経ビジネス2020年2月24日号 98~99ページより目次