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米上院の弾劾裁判でトランプ大統領は無罪の評決を受けた。支持率も就任後の最高を記録した。現在の好景気は同大統領の業績ではないが、経済運営に対する米国民の評価はオバマ政権を超える。一方の民主党支持者は、その熱の入れ方においてトランプ支持者に及ばないことを露呈した。

一般教書演説の議場。左側を占める共和党議員が起立し喝采を博す一方、右側の民主党議員には着席が目立つ。ペロシ下院議長(手前左)は演説原稿を破り、不満を表した(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 2020年秋の米大統領選に向けた選挙運動の中で、これまでで一番の発言は、マイケル・ベネット氏の「私を大統領に選んでもらえれば、2週間に1度しか私のことを考えずに済むと約束しよう」だろう。コロラド州選出の民主党上院議員である同氏は、19年8月にこうツイートした。同氏はその後、さほど目立った発言をしていない。

 この発言は、米国民が「トランプ疲れ」してくるとの予測に基づくものだったのだろう。だが、その予測は早すぎた。米国が変わり、政治が真面目になること(退屈になると言ってもいい)が待望されてきたが、それはまだ先の話のようだ。

 ドナルド・トランプ米大統領は2月に入り、就任以来最高の1週間を過ごした。どうやら同大統領の運はまだ続きそうだ。

 2月3日に始まる週に起きた出来事は同大統領にとって再選に向けた踏み切り板になっただろうか。後で振り返った時、そうだったということになるかもしれない。米調査会社ギャラップによると、同大統領の最新の支持率は49%。就任以来最も高い、ほとんど予想されることのなかった値だ。1カ月前に比べて4ポイント急上昇した。その間に同大統領は何かしただろうか。この高さは突発的なものかもしれない。

2月に訪れた3つの幸運

 しかし、支持率を押し上げた要因は分かっている。63%の有権者がトランプ大統領の経済運営を支持しているのだ。この調査項目における63%は、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)が9・11同時テロの直後に獲得して以降、最も高い数字だ。

 今年、米国の経済成長が減速するにつれて、この高い支持率も恐らく低下していく。だが、その一方で、米国のブルーカラーの実質賃金はここ1、2年、21世紀に入って初めて上昇している。この賃金上昇はトランプ大統領の政策とは実は無関係なのだが(同大統領は就任の7年前から続く回復を引き継いだにすぎない。成長率はオバマ政権下と同程度だ)、その点は支持率にはあまり影響しない。現職の大統領はほぼ常に、そのときに国民の所得が増えれば評価されるものなのだ。

 米国に景気後退が迫っているとの予測が19年には盛んに語られたが、20年に入ってからは聞かれなくなった。

 今月に入ってトランプ大統領の下に転がりこんできた第2の幸運は、米議会上院が同大統領に対する弾劾裁判で無罪の評決を下したことだ。陪審団が中立的であったなら、合衆国憲法を少しでも読めば有罪と断じたことだろう。しかし、大統領が裸の王様であると明言する勇気を奮い起こした共和党上院議員は、ユタ州選出のミット・ロムニー氏ただ一人だった。

 ロムニー氏を除く共和党の52人の上院議員は、トランプ大統領は無罪であると断言していた。だがその後様々に主張を変えた。ある者は、大統領の有罪を認めつつも、その罪状は取るに足らない問題だ、と。また、ある者は、実際有罪ではあるが解任するには次の大統領選が近すぎると言い張ったりした。中には1人2人、「トランプ大統領も今回の弾劾からいろいろ学んだのだから、罪を繰り返すことはないだろう」と訴える者さえいた。