全2924文字

春節明けの2月3日、中国株式市場は8%の株価下落に見舞われた。翌日、反転した背景には「国家隊」の存在がある。政府の要請に従って、株を買い支える金融機関連合だ。実際にはまだ資金を投入していないとみられるが準備を整える。それだけでも投資家の心理を支える。

閑散としたショッピングモール。生産だけでなく消費も停滞する(写真=AFP/アフロ)

 春節明けの2月3日、中国株式市場は4年ぶりの大幅な下落を記録した。この状況を受けて、新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気した株価下落を食い止めるべく、「ナショナルチーム(国家隊)」と呼ばれる政府系資金が買い出動するとの臆測が広まった。

 中国の証券会社や資産管理会社のトレーダーは、国家隊はこの日、万一に備える態勢にあったと話す。国家隊が株式市場を買い支える準備を整え、待機していたことを国営メディアが報道したのは、市場が引けてからのことだった。必要となったら、国内保険会社数社が1000億元(約1兆6000億円)の資金を株式市場に投入する手はずだったという。

 この報道を受けて投資家心理は改善。3日に約8%下落したCSI300指数は、翌4日には2.6%値上がりした。CSI300指数は上海及び深圳取引所に上場されている銘柄のうち時価総額および流動性の高い300銘柄で構成される主要株価指数である。

 古株の市場観測筋は、値上がりしたのは国家隊が持つ資金力に対する信頼感が理由で、国家隊がすでに市場救済に動いている証拠はないと見る。

国家隊が及ぼすプラセボ効果

 「政府による買い支えに関して、重要な点が1つある。買い支えが行われると誰もが信じていることだ。したがって、国家隊による買い出動は真実であると同時にプラセボ(気休めの薬)効果でもある」。中国の金融セクターに詳しいフレーザー・ハウイー氏はこう語る。同氏は独立系アナリストで、『Red Capitalism: The Fragile Financial Foundation of China’s Extraordinary Rise(赤い資本主義:中国の目覚ましい台頭を支える脆弱な金融基盤)』の共同著者でもある。

 華泰証券と中国銀河証券の資産管理部門で働くトレーダーたちは、株を買うようにとの指示はまだ受けていないと話す。ただし、その中の1人は「みんながパニックになっている時に株を買って損することはめったにない」と言い切る。華泰証券には江蘇省政府が24%、銀河証券には国有資産管理会社の中央匯金投資と財務省が51%出資している。

 他方、証券会社3社のトレーダーは、中国証券監督管理委員会(CSRC)から株の売却を控えるよう窓口規制を受けたと明かす。株価下落に備えた空売りも慎むよう言われた。こうした指導は今日、中国市場において株価が乱高下した時の常とう手段となっている。

 国家隊を構成する金融機関は常に同じではない。2015年に株式市場のバブルが弾けた時は、国有証券会社を中心とする国内証券最大手20社がその役割を果たした。株価下落に歯止めをかけるべく、株を買い支えるよう当局の要請を受けたのだ。