全3697文字

米ボーイングが737MAXの安全をめぐる問題に揺れ続けている。だが、同社が抱える問題はこれにとどまらない。もう一つの柱である防衛事業も課題山積だ。第1に規模、第2にプロジェクト遂行能力、第3に財政が挙げられる。

ベトナム戦争で主力をになった爆撃機が今も事業を支える(写真=ロイター/アフロ)

 主力機「737MAX」をめぐって、米ボーイングの難局が続いている。そんな中、同社がジェット旅客機以外の事業でも問題を抱えていることを私たちはつい忘れがちだ。

 同社が開発した大陸間弾道ミサイル「ミニットマン」(キューバ危機の折、当時のジョン・F・ケネディ大統領が米国の「切り札」と称した)や、ベトナムの上空を騒々しく飛び回ったB52戦略爆撃機(通称「Big Ugly Fat Fella」、「大きくて醜くて太った奴」の意)は、米国の20世紀を象徴する単なるアイコンではない。これらは今でも現役だ。

 かつて米国人の月面着陸に貢献したボーイングの宇宙開発事業も有人宇宙飛行の再開に向けて努力している。

 巨大な民間航空部門が混乱する今、ボーイングが利益を拡大し、士気を高められるかは、これまで高い評価を得てきた防衛・宇宙・セキュリティー部門(BDS)の肩にかかっている。だが、この部門も世間から忘れられた状態にあるようだ。事業を必要な規模に拡大することができず、最盛期を過ぎて、衰退が徐々に進んでいる。

 ボーイングを除く大半の防衛企業にとって、米国市場は現在、好況に沸いている。2017年にトランプ政権が誕生して以来、国防費は増加を続けてきた。株価も上昇傾向にある。米ロッキード・マーチン、米ノースロップ・グラマン、米レイセオンの19年の収入は平均10%を超えて拡大した。大口の戦闘機とミサイルの契約があったことが大きい。その一方で、ボーイングBDSの収入は1%減少した。