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トランプ米大統領が、イスラエルとパレスチナの紛争を解決する和平案を発表した。その内容はイスラエル寄りだ。選挙対策の色合いが濃い。イスラエルでは、入植地の併合に慎重な野党勢力は「弱腰」批判を受ける恐れがある。立案の中心となったトランプ氏の娘婿は、アラブ諸国にパレスチナを説得させる展開を模索している。

パレスチナの人々は、トランプ大統領の顔写真に火をつけて抗議した(写真=AP/アフロ)

 トランプ政権の主要メンバーはこの数カ月、タイミングが悪いと言い続けてきた。彼らはドナルド・トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏を中心に過去2年にわたって検討を続け、中東和平案をまとめた。これを発表する好機を探っていた。イスラエルとパレスチナの紛争は数十年にわたり米政権を悩ませてきたものだ。

 1月28日、ついにその時が来た。このタイミングは様々な状況を無視するものだ。イスラエルは3月に、この1年で3回目の総選挙を控えている。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は収賄と詐欺、背任の疑いで起訴された。米国では、トランプ氏に対する弾劾裁判が進む。同氏が和平案を発表したまさにその時、議会上院では弾劾審理が行われていた。パレスチナと米国は過去2年間にわたって対話を中断したままだ。

 トランプ政権が示した和平案は予想外に詳細なものだった。その分量は50ページを超え、地図も含む。だが、この和平案が「2国家共存」の解決とならないことは初めから分かっている。

 パレスチナは独立国家の建設が直ちに許されるわけではない。米国とイスラエルが提示する条件を満たす政府を樹立してからの話だ。パレスチナはヨルダン川西岸(以下、西岸)の約75%しか獲得できない。この地域は3つの部分に分割され、それぞれハイウェーで接続される。西岸とガザおよびネゲブ砂漠西部の2つの遠隔地はトンネルで結ばれる。この遠隔地は、イスラエルの入植地に代えてパレスチナに与えられるもので、入植地は引き続きイスラエルの管理下に置かれる。