全2909文字

米国と中国は1月15日、貿易を巡る「第1段階の合意」に署名した。しかし、事態は動き続ける。米国が早くも次なる経済制裁を仕込んでいる。制裁対象企業に対する、第三国経由の迂回輸出も禁じる。中国全体を対象にする可能性もある。

貿易を巡る「第1段階の合意」に署名する、中国の劉鶴副首相(左)と、トランプ米大統領(右)(写真=AP/アフロ)

 米商務省の中に産業安全保障局(BIS)という地味な部署がある。これまではスポットライトを浴びる存在ではなかったが、最近、高い関心を集めるようになった。米国からの輸出、および米国を経由する様々なモノの流れを統制する規則を管掌しているからだ。

 米国輸出管理規則(EAR)と呼ばれるこの規則は、ドナルド・トランプ米大統領の下で、対中テクノロジー戦争を戦うための新たな武器に変わりつつある。その一方で、EARのこの変化は、ハイテク産業が米国から逃避するリスクを高める懸念をはらんでいる。

 米政府は外国企業を攻撃する伝統的なツールとして、財務省が発動する経済制裁を利用してきた。この制裁の対象となった企業はドル建てで取引をすることができなくなる。基本的に世界の金融システムから締め出される。

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は米国が対中強硬戦略において標的にする企業の一社だ。ただし、スティーブン・ムニューシン米財務長官は同社に対してこの選択肢を用いることに消極的だと広く理解されている。同財務長官が消極的なのは恐らく、ファーウェイを排除すれば、グローバルネットワークが破綻し、経済が大混乱に陥りかねないからだ。