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長年に及ぶ米国のアフガニスタン軍事作戦は、ほとんど成果を出すことができずに縮小されようとしている。機密文書が暴かれ、軍事作戦がアフガンの実情をきちんと理解されずに実行されていたことも明らかになった。対して、水路建設に尽力した故中村哲医師の活動は人々の命を救い、平和にもつながる尊いものだった。

アフガニスタンでは、中村医師の死を悲しみ追悼集会が開かれた(写真=AFP/アフロ)

 ワシントンは「平和」の形をめぐって迷走している。2001年9月11日の同時多発テロ以降、米国はアフガニスタンに侵攻した。この米軍の軍事行動についてタリバンの指導者は次のように語った。「米国には時計があるかもしれないが、我々にはあり余るほどの時間がある」。何と絶妙な例えだろうか。米国はこの軍事行動を通じて、アフガニスタンが外国の軍隊に制圧されることはないと骨の髄まで知ることとなった。19世紀に英国が、20世紀後半にロシアが同様の事実を学んだように──。

 アフガニスタンの首都カブールでは、先ごろ実施された大統領選挙の結果を巡り、アフガニスタンの政治家の間で論争が続いている。この間、ドナルド・トランプ米大統領はタリバンの指導者と和平協議を再開した。トランプ大統領はアフガニスタンに駐留する約1万2000人の米軍兵士を引き揚げる意向だ。彼は数カ月前にも、シリア北部におけるクルド人組織との連携を止めるよう命じたばかりだった。

 彼らとの連携を見捨てようとしていることに対する抗議の声は、すでに収まっている。アフガニスタンは忘れられた戦争だ。テロとの戦い、反政府組織への肩入れ、国家再建、麻薬撲滅計画、数限りなく与えられた数十億ドル(約数千億円)規模の金融支援など、タリバンの勢力を弱体化させるためにあらゆる手段が試された。それでもなお、タリバンは国の過半を掌握している。アフガン政府とタリバンの間で政治的合意が成立しない限り、和平は達成されないとの見方が、今や常識となっている。