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 しかし、北京の政府関係者や学者たちはもはや、自らが抱く米国像に対するいら立ちと侮蔑を隠そうとしない。彼らは自負と妄想が危うく入り交じった視点で、米国を古臭く、くたびれた、ぶざまな国と見ている。

 中国の指導者は、他国に対しては自由貿易と開かれた市場、そしてグローバル化にまい進すると、もっともらしく語る。しかし、国内政策においては別のプランを持っている。HVM(高価値製造)分野を中国企業に支配させ、一日も早く基幹技術で米国依存から脱却しようとしている。

悪化の一途をたどる米中関係

 中国はトランプ大統領が就任するずっと以前から「自主創新」「軍民融合」といった政策を推進してきた。トランプ大統領が2018年に貿易戦争を仕掛けて以降、習近平(シー・ジンピン)国家主席とその取り巻きたちは高価値分野での自給自足を目指す努力を加速させてきた。習国家主席の言葉を借りるなら、「自律的で管理可能な、安全かつ効果的な」サプライチェーンを創出しようというのだ。

 米中関係は過去数十年にわたり、敵対する時期(とりわけ米国の大統領候補者が米国内の労働者を中国の不公平な競争から守ると公約を掲げる選挙前の時期)と、利益追求のために関係を深めようとする時期との間を振り子のように行き来してきた。しかし今では、米中双方の政府関係者が、両国の関係は悪化する一方だと語る。どちらもすぐに相手国の悪意を疑うようになった。

 かつては協調と競争のバランスがとれ、中国の台頭が両国の国益に見合うと思われた分野でも、中国の政府関係者はトランプ政権の姿勢を非難する。高圧的で近視眼的な「米国第一」の計画に沿う場合にのみ、トランプ政権は中国と協調しようとする、と語る。