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中国で、民間企業の債務不履行が拡大している。これまで膨張の一途をたどっていた信用が収縮に転換したからだ。企業は、豊富な資金を元に事業を急拡大させてきた。これが裏目に出ている。投資家は不安を強める。他方、これは中国政府の自信の表れとの見方もある。

過去最高の4.9%に
●中国企業のデフォルト率の推移
*=1~11月
出所:Fitch Ratings/Financial Times

 過去20年の間に、中国・山東省の鄒平県は世界最大級のアルミ生産者を擁する一大産業ハブへと変貌した。ヤムイモの生産で知られるだけの片田舎だった同県を一変させたのは、一握りの民間企業だ。

 だが何年にもわたって、大規模な借り入れをてこに積極成長路線を歩んできたせいで、鄒平県とその周辺の県は企業デフォルト(債務不履行)のホットスポットとなった。最近では、コーン油を生産する西王集団が10億元(約160億円)の社債を償還できず、デフォルト状態に陥った

 山東省の苦境を前触れとして、2019年は中国全土に金融リスクが広がった。米格付け大手フィッチ・レーティングスによれば、14年に0.6%だった中国民間企業のデフォルト率は、社債のデフォルト頻発を受けて、19年11月末には過去最高の4.9%に上昇した。

 経済成長が過去30年の最低水準にとどまり、資金繰りが厳しくなるなか、山東省をはじめとする各地で民間企業が苦しい状況に追い込まれている。こうした民間企業に対して政府当局がどれだけ救いの手を差し伸べることができるか、投資家は疑問視する。

 英アバディーン・スタンダード・インベストメンツでアジア債券投資の責任者を務めるエドムンド・ゴー氏は警鐘を鳴らす。「政府はこれらの企業を支援し続ける、と確信している人々は多い。彼らが多額の税金を納め、多数の従業員を雇っているからだ。だが、あまりにも企業の数が多すぎて、全てを救済するのは難しい」

与信が膨張から収縮に逆転

 中国で社債のデフォルトが起きるようになったのは比較的最近のことだ。上海を拠点とする太陽光発電会社が14年にデフォルトするまで10年余り、デフォルトは1件も起きていなかった。

 こうした見せかけの安定が保たれていたのは、中国金融市場において与信が膨張していたからだ。信用の供与が過剰であったため、企業は債務の返済が不能となっても、返済期限の延長や借り換えで乗り切ることができた。また信用がだぶつくおかげで、大企業は低いコストで事業規模を急速に広げ、雇用を拡大し、経済成長を支えることができた。