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 マカオの民主派政党、新澳門学社の理事長を務める甘雪玲氏は、中国本土の政府関係者は昔からマカオを隠れ家として、またマネーロンダリング(資金洗浄)のために利用してきたと指摘する。それゆえ中央政府は、マカオの市民をなだめておく必要がある。

 両都市を研究する政治学者の盧兆興氏は、マカオも香港も中国に手駒として利用されている、と語る。盧氏によれば、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が抱く究極の目標は「中国の偉大なる復興」だ。これには、1949年に中華人民共和国が成立して以後、本土による統治から離れている台湾の再統一が含まれる。

 一国二制度はもともと、台湾政府との交渉に先立ち、再統一の青写真として中国が考えたモデルだ。盧氏は、中国政府がこの制度の下で普通選挙を認めるような譲歩をすることはないと指摘する。

 アナリストによると、マカオは香港よりも市民社会が未発達で、住民の帰属意識も弱い。マカオは常に、香港に比べて中国に対し従順だった。2009年には国家安全条例も成立させている。同じ条例案が03年に香港で提出された時は、50万人の市民がデモに参加。香港政府は廃案に追い込まれた。

 盧氏は「マカオのモデルが香港で実現するには少なくとも20~30年はかかる。私は30年でも足りないと思う」と語る。