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オバマ氏が開拓したデジタル選挙戦術のお株をトランプ氏が奪った。だが2020年に向けて民主党が反撃に転じた。認知度の低い民主党立候補者がソーシャルメディアを生かす。投資額はウォーレン氏やサンダース氏をしのぐ。そして、大富豪のブルームバーグ氏が参戦した。反トランプ広告に1億ドルを投じるという。

ついにブルームバーグ氏が参戦した(写真=ロイター/アフロ)

 米ウォール街と首都ワシントンは11月下旬、政治とカネの話で持ちきりだった。マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が米民主党の大統領候補指名争いに参戦し、自身が保有する巨額の資産を気前よく選挙戦に投じる意向を示したからだ。

 同氏は11月22日金曜日に実施した大々的なテレビ広告だけで約3000万ドル(約33億円)を投入したと報じられる(広告自体は大したものではなかったが)。金権選挙だ、と対立候補からは猛烈な批判を浴びた。

 テレビ広告が持つ選挙戦術上の重要性を指摘する専門家は多いが、選挙戦にはもっと注目されるべきなのにされていない側面がある。広告資金が米フェイスブックや米グーグルなどのデジタル基盤に向けられているのだ。3年前まで、民主党員のほとんどが見向きもしなかった話題だ。政治広告の媒体といえば、一般的にテレビの方がフェイスブックなどより重要と考えられていたからだ。

 2008年と12年の大統領選でバラク・オバマ氏がデジタル技術を使った選挙運動で成功したため、サイバー空間上では共和党より圧倒的に優勢だ、と民主党がうかつにも思い込んでしまったことも一因にある。

 その認識が誤っていたことは、16年の大統領選で証明された。デジタル広告は、テレビよりも強烈なパンチ力があった。

 民主党はかつて、この分野において共和党に先んじていたが、16年大統領選に出馬したドナルド・トランプ氏が(今は信用を落とした調査グループ、ケンブリッジ・アナリティカを使って)展開したオンライン上の選挙戦は、民主党が行ったどんな宣伝よりも巧妙だった。個人向けのメッセージを導入したり、選挙を監視する市民活動家を激怒させるほどに「事実」をねじ曲げて配信したりしたのだ。