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ファーウェイなどの中国企業が米国の制裁対象となる中、ドローン世界最大手のDJIは制裁を免れている。優れた技術と低コストに加えて、入念なロビー活動がその理由だ。政府に深く入り込んでおり、政府専用ドローンの開発を進める。規制当局のFAAにも委員を送る。

トランプ政権は今後、DJIも制裁の対象に加えるのか(写真=ロイター/アフロ)

 米政府が、中国ハイテク企業に対する監視の目を強めている。そんな中、ドローン世界最大手の中国DJIにとりわけ注目が集まる。

 だがDJIは早い段階からこの危険性を察知し、何年も前から対策を講じてきたとみられる。競合メーカーは同社の取り組みを、米政府に対する「教科書通り」のロビー活動と表現する。政府内の関係部署と緊密な関係を築き、政治的な懸念にいち早く対応してきた。

 DJIの姿勢は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)や、人気の動画投稿アプリTikTokを開発した北京字節跳動科技(バイトダンス)と好対照をなす。これら2社は中国のハイテク企業に対する米当局の厳しい攻撃にさらされ、苦しい立場に追い込まれている。

 例えばファーウェイは、米国が科す制裁の撤回を勝ち取るべく、経営陣が米政府関係者との会合を試みたが、一度たりともそうした機会を得ることができなかったという。

 トランプ政権では今、DJIに対する方針を巡って意見が割れている。同社製ドローンの使用を全面的に禁止するか、それとも、もう少し穏やかなアプローチを取るかだ。「政府内にはDJIをただちにたたき潰そうと考える人々がいる」。ある政府高官はこう語る。「一方で、そんなことをした場合、DJIに代わるドローンメーカーは多くない、と警告する者も数多くいる」

 米ワシントンを拠点に活動する業界のロビイストの一人はこう指摘する。「DJIはこれまで完璧に振る舞ってきた。重要な委員会に出席するとともに、政府内で応援団をひきつけてきた」

日経ビジネス2019年11月18日号 100~101ページより目次