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サウジアラビアが経済改革を進めている。ジャーナリスト殺害事件のほとぼりも冷め、企業人が戻りつつある。国営石油会社アラムコの上場も承認され、改革資金の獲得が前進する。だが、目前の霧は晴れない。アラムコ上場も新たな金融問題を引き起こす懸念がある。

サウジのムハンマド皇太子(左)とロシアのプーチン大統領。両国は急速に関係を深めている(写真=BANDAR AL-JALOUD/SAUDI ROYAL PALACE/AFP/アフロ)

 凝った装飾が施されたその会議場では、1000億ドル(約11兆円)の規模を持つ技術ファンドのトップがガラガラの観客席に向かって話をしていた。その後、彼はしばし眠りに落ちた。

 会場の外では、米トランプ政権の広報部長を10日間で解任されたお騒がせ投資家のアンソニー・スカラムッチ氏が何やら怪しい政治分析を人々に説いていた。かと思えば、ある米国企業はジェットパック(背負うスタイルの噴射式飛行装置)を販売していた。また、1台のロボットが通行人に向かって自分の頭をくすぐるよう呼びかけていた。誘い文句は「気分が良くなりますよ」だった。

 これはサウジアラビアの最も重要なビジネス会議、「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」での光景だ。今年で3回目。首都リヤドで10月31日まで開催されたこのイベントには約6000人が参加した。

 この人数にサウジ当局者は安堵した。2017年に開かれた最初のFIIはムハンマド・ビン・サルマン皇太子が進める経済改革のお披露目パーティーだった。ところが昨年開かれた第2回は、著名ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がサウジ政府関係者に殺害された事件を受けて陰鬱なムードが漂い、多くの経営トップが欠席した。

 今年はFIIへの参加に不安を感じる者はいなかった。サウジの当局者はこの会議で経済改革の進展ぶりをアピールした。

日経ビジネス2019年11月18日号 96~97ページより目次