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英国の最高裁判所がジョンソン首相による議会の閉会は違法であるとの判断を下し、民主主義は守られた。しかし離脱合意への道筋はいまだ見えない。議会で過半数の支持を得られる離脱案は存在しない。英国は離脱期限の3度目の延期を求め、その間に総選挙を行うしかないが、結果がどうなるかは不明だ。

最高裁の判決を受け、英議会は再開された(写真=JESSICA TAYLOR/UK Parliament/AFP/アフロ)

 暗闇の中、ようやく一筋の光が差した。英国の最高裁が、「バナナ共和国」のような状態へと滑り落ちそうになったこの国の転落を押しとどめた。ボリス・ジョンソン首相は、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る議会の審議を停止しようとした。だが、その企ては権力の乱用であると最高裁は判断したのだ。

 最高裁の11人の判事が伝えようとしたメッセージはシンプルだ。「民主主義にとり、投票制度とともに法の支配は欠かせない柱である」。ジョンソン首相は自分をこの柱の上に置こうとした。

居直ったジョンソン首相

 誠実さのひとかけらでも持ち合わせている政治家なら、これほどはっきりと有罪の宣告を受けたら辞任したことだろう。ジョンソン内閣は、発足からわずか数カ月で混乱の極みにある。議会を閉会したジョンソン首相は、女王と国民をだましたことになる。しかし、同首相は潔く身を引く道を取らなかった。これは驚くことではない。彼はナルシシストだ。謙虚さなど「庶民」が持つものだと考えている。

 ジョンソン首相には“仲間”がいる。最高裁の判決が出たのとちょうど同じ頃、米ニューヨークを訪れていた同首相は、ドナルド・トランプ米大統領と互いをたたえ合っていた。

 トランプ大統領自身も法的難題にさらされている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と接触したことについて、米民主党が弾劾調査を開始したのだ。