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サウジの石油施設などがドローン攻撃に遭い、大きな被害が生じている。中東は今、「21世紀のドローン戦争」の最前線と化しており、さまざまな国や組織がドローン攻撃を仕掛ける。ドローン戦争の特徴の一つは、容易かつ安価に攻められるのに対し、防御は複雑かつ高価である点だ。

サウジ・アブカイクの石油施設。米が衛星画像を公開(写真=US Government/AFP/アフロ)

 サウジアラビアで石油施設が攻撃され、同国の生産のほぼ半分が停止する事態となった。サウジはこの攻撃がなされるはるか以前から、兵器を搭載したドローン(無人機)による攻撃に脆弱なことを認識していた。隣国イエメンで活動するイスラム教シーア派武装組織「フーシ」は過去18カ月間にわたり、ミサイルと共にこの新たな航空兵器を使用して、サウジの空港、塩水淡水化プラント、石油施設を繰り返し攻撃してきた。

 防衛産業のあるトップによれば、脅威の増大を受けて、いくつものサウジ当局が最適な防衛システムの構築を欧米諸国に要請している。こうした組織は国営石油会社サウジアラムコから防空、港湾、民間航空の管制を担当する部局まで多岐にわたる。

 このトップは「今年に入り、彼らはドローンに対してパニックに陥っている」と話す。「要請は最上層部からきている──国を守れ、というわけだ。『そういうシステムを提供できる』と言えば、『今すぐやれ』という答えが返ってくる」

 9月14日に行われたアブカイクの石油施設およびクライスの油田への攻撃の詳細は、依然として明らかになっていない。アブカイクには石油の精製設備が集中する。フーシは翌15日、ドローン10機でサウジを攻撃したとの声明を出した。これに対して米国政府はイランが関与したと主張する。米国とサウジはミサイルやドローンなどの兵器をイランがフーシに与えたと非難する。

 米政府関係者が17日、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に語ったところによれば、攻撃に長距離兵器が使用された痕跡があり、巡航ミサイルが使用された可能性が高まっている。サウジは今のところ、米国のこの主張を支持してはいない。イランはあらゆる関与を否定している。

 いずれにせよ中東では、兵器を搭載するドローンが選択すべき最新の兵器となっている。

 米国とイランの緊張が高まるにつれ、イランが支援するフーシはサウジ南部国境付近で攻撃を激化させてきた。安価で小回りが利くうえ、容易に空中警戒システムをかいくぐることができるこの兵器は、世界最大の石油輸出国サウジ(世界最大級の武器購入者でもある)と中東諸国の防空体制に新たな脅威を突きつけている。

日経ビジネス2019年9月30日号 112~113ページより目次