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シェアオフィス大手「ウィーワーク」がハイテク企業としてもてはやされているが、その実態は不動産業と変わらない。ハイテク企業が自信過剰に明るい未来を示し、ビジョンを語るのは、多くの場合資金調達のためである。ウィーワークのビジネスモデルはオリジナル性に乏しく、膨張する経費や足元の損失を埋められる保証はない。

ウィーワークの企業価値は470億ドルに達するも、2019年上半期の最終損益は赤字で、ビジネスモデルの有効性には疑問の声が上がっている(写真=ユニフォトプレス)

 今年はハイテク分野において、数多くのスタートアップ企業が株式市場に上場した。そうした企業の頂点に立つために必要なものは、みなぎるほどの野心とうさんくさい誠意だ。こうした資質を、米ウィーワークは完璧なまでに持ち合わせている。

 シェアオフィスの賃貸を手掛けるウィーワークは、先を行く米ウーバー・テクノロジーズや米リフトと同様、創業から10年もたたずに世界的な企業となった。米ニューヨークでたった1フロアのオフィス賃貸から始まった同社は、今や世界的な企業に成長した。直近の資金調達をもとにするとその企業価値は470億ドル(約4兆9500億円)に達する。明るく美しいワークスペースの代名詞ともいえよう。だがウーバーやリフトと同様、ウィーワークもそのビジネスモデルが実際にきちんと機能するのか、誰も確信をもって言い切ることはできない。

 実際のところ、ウィーワークはハイテク企業の衣をまとっただけのいわゆる不動産会社だ。そのことを確かめたければ、上場時の資料を見ればよい。必要なページ数の倍くらい分厚くまとめられた資料には、楽しそうに働く人々の写真がこれでもかというくらい掲載されている。「人々が出会い、コミュニティーを形成し、生産性を高め合う場所」になることを目指し、オフィス市場を独占することによって、企業価値を3兆ドルに押し上げるとも主張している。

資金調達のために未来を語る

 これにはリフトやウーバーと同じような自信過剰ぶりが表れている。リフトは、自動車の発明以降、最大の社会的変化の一翼を自分たちが担うと強調した。ウーバーは上空をタクシーが飛ぶ時代がもうそこまで来ていると述べるとともに、同社がターゲットとしているのは12兆ドル(約1265兆円)の市場だと示唆した。12兆ドルの中には、消費者がレストランで消費する金額も含まれている。

 誇大宣伝はハイテクセクターが持つ手品のようなものだ。素晴らしい事業を起こせば金銭面でも膨大な成功が転がり込んでくるのに、控えめでいなければならない理由などあるか、というわけである。

 ロボタクシーの商用化は近いとする米テスラの予言は、自動運転に関する同社の予測は現実となると人々に信じさせる思いがけない効果があった。確かに、ウーバーがビジネスの範疇に捉える市場は巨大であるため、同社への評価はさほど過大でないと思われがちだ。