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ジョンソン英首相とボルトン米大統領補佐官との会談は、英国が今後強いられる従属関係を象徴していた。トランプ米大統領は、イラン核合意の維持を譲らないEUにいら立つ。英国に離脱を促し、EUの弱体化をもくろむ。欧州という柱を失えば英国も力を失う。ジョンソン氏はいずれEUの重要性を思い知ることになるだろう。

英国のEU離脱によって英国もEUも弱体化すれば、トランプ米大統領(上)の意向が通りやすくなる。ジョンソン英首相(下)はそれを理解しているか(写真=上:AP/アフロ、下:代表撮影/ロイター/アフロ)

 国家安全保障を担当する米国の大統領補佐官がロンドンを訪れても、特に注目されることなく、過ぎ行く日々に紛れてしまうものだ。米ホワイトハウスからの使者として外交機関に立ち寄り、目立たぬように首相官邸を訪れて、米大統領の敬意を伝えた後、ひっそりと帰国するのが常である。

 だがジョン・ボルトン氏が8月半ばに訪英し、英国政府機関の至るところで見せた王者のような振る舞いは、米英間における新たな力のバランスを示すものだった。

 ボリス・ジョンソン英首相とドナルド・トランプ米大統領は、一部で「特別な関係」と呼ばれるものを築きつつあるようだ。たどった道のりは違えど、どちらもナショナリズムと移民排斥ポピュリズムを叫んで権力の座に就き、西側世界が奉じる民主主義を揺るがした。両者とも欧州大陸に多くの友人を持たない。事実や真実と注意深く付き合おうとしない点も共通している。

 米政府と「特別な関係」を築くという英国の構想は、もちろん目新しいものではない。首相となるウィンストン・チャーチルが1930年代*に初めてこの表現を用いて以来、ほぼ全ての首相が最善と信じてきた。そして英国は常に「ジュニアパートナー」に甘んじた。時に、賢明さでは自らが勝ると思いながらもだ。同じく英首相を務めたハロルド・マクミランの言葉どおり、「ギリシャがローマを見るように、英国は米国を見ている」のだ。