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中国の国有造船大手2社が統合を決めた。過剰な生産能力を調整し、事業拡大をもくろむ。これを迎え撃つのは韓国最大の現代重工業だ。こちらも韓国2位の大宇造船海洋を統合し、規模の拡大を図る。技術面でも新たな競争が始まる。硫黄化合物の排出を抑えた船やLNG船が新たな舞台だ。

LNGの供給と需要の拡大が見込まれる。これに伴い、LNG船の受注競争が日中韓の間で激化する(写真=アフロ)

 韓国の造船会社は新時代の幕開けに備えている。中国造船業界のトップを固める国有造船会社2社が経営統合を発表し、競争の激烈化が避けられないためだ。

 中国船舶工業(CSSC)と中国船舶重工業(CSIC)が7月、統合案に合意した。世界最大の受注を誇る韓国の現代重工業にとって巨大なライバルが誕生する。現代重工が、韓国で第2位の大宇造船海洋を予定通り買収した後も、この状況は変わらない。

造船業界の枠組みを変える
●中国と韓国で進む企業合併の概要
*2=2018年6月30日までの12カ月
*3=2018年(暦年)
出所:Financial Times/scoutAsia/各社

 現代重工のカ・サムヒョンCEO(最高経営責任者)は中国に誕生する新グループについて、技術開発の向上とコスト削減を促進するシナジーを備え、競合として手ごわさを増すだろうと身構える。

 同CEOはソウルで本紙(英フィナンシャルタイムズ)に「我々は(エンジニアリングの)技巧と質で中国の造船会社を上回らなければならない。品質・技術・技量を向上させる努力が欠かせない」と語った。

「生き残りのため統合」

 中国の造船業は途方もない規模を備え、この10年以上、韓国最大手の行く手に立ちふさがってきた。彼らは、安価な労働力や鉄鋼へのアクセス、および政府からの補助金に支えられている。だが世界の造船会社と同様、過剰設備に苦しんでもいる。

 世界の海運市場が停滞する中、中国熔盛重工が2014年に債務不履行に陥り再編を迫られた一件は、中国の重工業を悩ませる問題を象徴する出来事となった。負債にあえぐ造船会社が倒産していくさまに業を煮やした中国政府は、この分野において複数の経営統合を推し進めた。

 現代重工のカCEOは、世界的な傾向がより鮮明になってきたと言う。同氏の言葉を借りれば「造船業界は生き残りのために統合を続けている」のだ。

「韓国においてさえ、造船所は大中小さまざまなものがあふれていた。この国の経済や領土、人口の規模を考えれば数が多すぎた」

 現代重工およびアジアに特化した英文情報サービス「スカウトアジア」の統計によると、今回誕生する中国グループが保有する資産は1200億ドル(約12兆7000億円)を上回る。その一方で、現代重工の資産は、大宇造船を買収した後でも、約330億ドル(約3兆5000億円)にとどまる。