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国連が発表した最新の予測によると、欧州や北米における出生率は「2」を超えそうにない。出生率の低下が労働人口の減少をもたらし、経済成長に負の影響を与えることが懸念されている。しかし、生産の「自動化」の進展が状況を根底から変えた。憂うべきは、人口の拡大がもたらす失業率の上昇だ。

アディール・ターナー卿
米マッキンゼー・アンド・カンパニーや英スタンダードチャータード銀行取締役などを経て、2008年から13年まで英金融サービス機構(FSA)長官。現在は投資家ジョージ・ソロス氏が設立した新経済思考研究所のシニアフェロー。
米テスラは生産の高度な自動化に挑戦した(写真:ロイター/アフロ)

 国際連合は2年ごとに、人口の動向に関する最新の将来予測を発表している。2019年の予測は、地域間に存在する顕著な相違を浮き彫りにした。アジア、欧州、南北アメリカの人口はいずれもすでに安定状態に達したか、もうすぐ安定状態に達する。これらの地域の人口は現在の64億人が2100年には65億人に増加するだけで、この間の増加率は2%にとどまる。対照的にアフリカの人口は13億4000万人から42億8000万人に急増する、と予測する。

 数十年を超える未来の人口動向の推定は一にも二にも将来の出生率に依存する。将来の出生率はそもそも確実に推定できるものではない。だが、すべての先進国を通じて、現在の出生率のパターンが極めて長期にわたり持続してきたことを踏まえるならば、このパターンが今後とも人類の安定的な特徴であり続けると考えてよいだろう。

 すべての(経済)先進国では、19世紀末から1920年代にかけて出生率が急落した。避妊が普及。女性の教育水準が向上して正式な労働力としての社会参加も拡大し、女性の家庭からの解放を促した。出生率の値は2つの世界大戦に挟まれた時期に多くの国で2を割り込んだ後、第2次大戦直後に再び上昇した。北欧および西欧で2.4前後、北米では3を上回った。