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米国においてカリフォルニア州とテキサス州は特別な存在だ。その経済規模はどちらも先進国に匹敵する。性格はかたやリベラル、かたや放任で全く異なるように見えるが、どちらも共通して有色住民が増加している。米国が理想とすべきは、この両州の良いところを取った“テキサフォルニア州”だ。

米国政治の中心は連邦ではなく州だ(写真=アフロ)

 ケーブルテレビのニュースに映る米国の姿は、ホワイトハウスの執務室から大統領が命令を下し、国を変えていくというものだ。だが、これは米国の実際の姿ではない。真の米国では、重大な政治的選択の多くが首都ワシントンではなく州、とりわけ2つの州によって決められている。

 テキサス州とカリフォルニア州は米国で一、二を争うほど広大かつ高慢で重要な州である。いずれも自らが米国の将来を握っていると確信している。

 過去数十年にわたって、この2つの州は正反対の方向に歩みを進めてきた。その結果、両州の歩みそのものが、どちらの道を取れば米国の未来がより明るくなるのかを決める壮大な実験となっている。一方の州は、税金が安くて規制が少なく、最低限の住民サービスしか提供しない(テキサス州)。もう一方は、税金が高くて規制も多いが、通常は連邦政府の仕事だと考えられている気候変動などの問題に、州政府が積極的に関与する(カリフォルニア州)。

カリフォルニア追うテキサス

 ワシントンでは長期にわたって政治の機能不全が続いている。よって、この実験の行方が米国の将来像を決することになるだろう。その重要性は、次の大統領選挙で誰が勝利するかに勝るとも劣らない。

 その理由の一つは両州の規模が巨大なことにある。米国人の5人に1人がテキサス州かカリフォルニア州に住んでいる。2050年までに、この比率は4人に1人になるだろう。

 過去20年間に、この2つの州は米国における新規雇用の3分の1を生み出した。その経済力は国家の経済力に匹敵する。仮にこの2州が国だとすると、テキサス州のGDP(州内総生産)はカナダを抜いて世界第10位に位置づけられる。カリフォルニア州に至っては、ドイツに続く世界第5位の経済大国になる。

 テキサス州とカリフォルニア州はまた、米国の人口動態の未来も先取りしている。両州ではヒスパニック系の住民が人口の約4割を占め、全米平均の2倍に及ぶ。両州ではかなり前に多数派と少数派が逆転した。カリフォルニア州では00年以降、テキサス州では05年以降、非白人系住民の数が白人系住民を上回っている。他の州がこの節目に到達するのは21世紀半ば以降とみられている。

 カリフォルニア州とテキサス州合わせて米国の子供たちの4分の1近くを教育している。その多くが貧しく、英語を母国語としない子供たちだ。どちらの州もメキシコに近接する。かつてメキシコの一部だった両州は、米国移民法の改正が遅れれば遅れるほど、その影響を被ることになる。

日経ビジネス2019年7月8日号 128~129ページより目次