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アフリカ諸国の間で、スリランカの二の舞いになることを恐れる声が高まっている。債務返済に行きづまり、港の運営権を中国企業に譲渡した。他方、中国も大盤振る舞いを見直し始めたもよう。ケニアはその一例だ。過去のプロジェクトの反省を踏まえ、新規融資の提供を渋っている。

ケニアのケニヤッタ大統領(左)と中国の習近平国家主席(写真=新華社/アフロ)

 ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領が5月、10日間にわたって姿を消した。

 ケニア国民はハッシュタグ「#FindPresidentUhuru(ウフル大統領を探せ)」に「心配」を装った皮肉っぽいツイートを寄せた。この「身長170cm強のアフリカ人男性」の所在情報を求める人捜しのポスターまで登場した。

 同氏の消息が途絶えたのは訪問先の北京だった。政府の広報担当者は、ケニヤッタ大統領はこの間、執務室で「瞑想(めいそう)」していたと釈明し、国民を安心させようとした。

 しかし、北京で新たな融資を獲得するのに失敗し、意気消沈していたのではないかとの臆測が流れている。ケニアは現在、鉄道路線を敷設する総事業費100億ドル(約1兆1000億円)のプロジェクトを進めており、次のフェーズに取り組むための資金を必要としている。

 ケニヤッタ大統領が体面を傷つけられたと感じたのも分からなくはない。アフリカに対する中国の大盤振る舞いは青天井のように見える時もあった。中国は2018年9月、アフリカ向けに600億ドルに上る新たな援助・融資を表明した。習近平(シー・ジンピン)国家主席はこの支援について「政治的なひも付けはない」と約束した。

大盤振る舞いは終わった

 タンザニアの権力者ジョン・マグフリ大統領はこれを喜んだ。西側諸国は資金を提供する際、同性愛者を投獄すべきではないなどの「奇妙な条件」を付ける。これに対して、「中国は真の友だ。条件が付いていない」と強調する。

 タンザニアにとって中国との親交は有益だった。米ジョンズ・ホプキンス大学の中国アフリカ研究イニシアチブによると、タンザニアは10年以来、20億ドル以上の融資を受けている。13年には、中国が100億ドルを融資し、バガモヨという漁村に港湾施設を建設することで合意した。同地は、かつて奴隷・象牙取引で栄えたものの今は閑散としている。

日経ビジネス2019年7月8日号 126~127ページより目次