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従業員が使用するパソコンの動作などを監視するツールの利用が拡大している。AIなどの最新技術を用いる。個人データと組み合わせることで、「理想の従業員像」を定義することもできる。こうしたツールの利用は倫理上の問題を生み出す懸念がある。プライバシー侵害に警鐘を鳴らす声が上がり始めた。

収集したデータを昇進や解雇の判断に利用することもできる(写真=アフロ)

 従業員が職場でやり取りしたメールや閲覧したウェブサイトを企業がモニターできるようになって久しい。そして今や、複数のテック・スタートアップが「こうしたデータをすべて分析し、従業員一人ひとりがどれだけ有用かを明らかにできる」と口にする。

 彼らは、コンピューターの動きを追ったログ(スクリーンショットを含む)を取得し、ビッグデータを使った分析プログラムにかけることで、生産性に関する経営幹部向け報告書を作成できると言う。こうして得たデータを経営者がどう使うかについては利用企業に任せる。

 米調査会社のガートナーによると2018年時点で、年商が7億5000万ドル(約830億円)を超える企業の半数以上が「非伝統的な」モニタリング技術を利用していた。

 米サンフランシスコに拠点を置くグランドレビューリサーチは、ワークフォース分析市場の規模は25年までに20億ドル(約2200億円)近くに成長すると予測する。

 米アクティブトラックなどが開発する企業向け製品は、従業員が「どんなウェブサイトを訪れているか」「“非生産的”と見なされるウェブサイトの閲覧にどれだけの時間を費やしているか」などを追跡する。危険と見なされるコンテンツに対しアラームを設定することもできる。同社は今年3月、シリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。

日経ビジネス2019年5月27日号 90~91ページより目次