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米政府が中国に対する姿勢を硬化させ、ファーウェイのサプライチェーンを断ち切る決定をした。強硬姿勢を求める声が議会でも高まっており、冷戦期におけるソ連への姿勢と同様の様相を示す。このままでは冷戦が熱戦へと向かいかねない。事態の悪化を止めるルールの確立が必要だ。

(イラスト=Ingram Pinn)

 米中貿易戦争に関して不安なのは、これが単なる始まりにすぎないことだ。ドナルド・トランプ米大統領は貿易収支と関税にとらわれている。米国の産業がすべての国の産業を圧倒していた1950年代に憧れを抱いているのだ。だが米政界において対中タカ派が勢力を拡大している今、交易条件の見直しは、次に起きる事態の幕開けにすぎない。

 米中の閣僚級協議が5月9~10日に開催されたものの、物別れに終わった。その頃、マイク・ポンペオ米国務長官は英ロンドンを訪れていた。同氏はテリーザ・メイ首相が率いる英国政府にどのようなメッセージを届けたのだろうか。英国が構築する5G通信ネットワークに、どのような形であれ中国の華為技術(ファーウェイ)が関与するなら、米国は英国との特別な関係に終止符を打つことになるかもしれない、というのがその内容だった。

 米国に話を戻そう。トランプ大統領がファーウェイに対する新たな措置を発表した。同社が米国市場でその技術を販売するのを実質的に禁止した。さらにファーウェイは、同社製品を製造するのに不可欠な米国製半導体を購入できなくなる可能性もある。

 米国から6000マイル離れた南シナ海では、米国の艦船が航行していた。日本、フィリピン、インドの艦船から成る小型艦隊の先頭で、米海軍は米国旗を高く掲げた。中国は、他国と領有権争いを繰り広げている南シナ海の岩礁を前哨基地にして、周辺の海域に対する領有権を主張している。こうした動きを強める中国に対し、米国は「航行の自由」作戦を展開して対抗する。

日経ビジネス2019年5月27日号 88~89ページより目次